僕のお客様からオーダーの多いお色の1つ、グレーやシルバーなどのモノトーン系のお色。
一時期グレージュやグレイッシュ〇〇みたいなお色が流行ったりしていましたよね。
シルバーであればホワイトよりもクールな印象に、グレーであれば暗いながらも透明感があり柔らかな印象になってくれます。
そんなモノトーン系のお色ですが、実は作ること以外で難しい要素があります。
今日はそのモノトーン系が持つ難しい要素と、それに対する僕なりの対処法についてのお話をば。
意外と残留しやすいモノトーン系アルカリカラー
先ず初めに、モノトーン系カラーが持つ難しい要素について。
実はモノトーン系のお色…、その中でも特にアルカリカラーで作るモノトーン系のお色って非常に残留しやすい染料が含まれていることが多く、次のカラーをする時に邪魔をしてしまうことが多々あります。
グレーやシルバーは何色と同じ系統のお色なのか…
先ず大前提として、グレーやシルバーといったモノトーン系のお色は何色と同じ系統のお色なのか…。
言わずもがな、モノトーン、無彩色なわけですから、白や黒と同じ系統のお色ですよね。
厳密に言えば無彩色の中にも「白・明るい灰色・灰色・暗い灰色・黒」の5段階に分類されるのですがそれはさておき。
兎にも角にも、黒と同じ系統のお色に当たるわけです。
ここで、黒染めが何故非常に残留しやすく、次のカラーの邪魔をしやすいのかを簡単に説明すると…。
髪色をカラー剤で黒にするには…
メラニン色素によるナチュラルな黒髪はさておき。
ヘアカラー剤、ここでは所謂普通のカラー剤であるアルカリカラーに限定しますが、アルカリカラーで黒を作る場合。
黒とはそもそも色というよりも、光を一切通さない状態のことを指します。
ですから、髪の毛の場合もなるべく光が髪の毛を通過しない状態を作る必要があります。
その光が通過しない、光の透過率が0に近い状態を作るには、複数のお色を混ぜる必要があります。
更に言うとその色の、色自体、染料自体の粒の大きさ…、これを分子量と言うのですが、この分子量も非常に重要になってきます。
分子量が小さい、細かい染料を髪の毛に詰めに詰めて光が通らないようにすることができれば良いのですが、現在の化学技術ではそうもいきません。
そこで、ある程度大きい染料を詰めてから、その隙間を埋めるように細かな染料を詰めることで、光が殆ど通らない状態を作っています。
この大きい染料というのが非常に厄介で、この大きい染料というのは酸化重合という反応で髪の毛の中の成分と結合します。
酸化重合というのはとても強固な結合で、現在存在しているブリーチ剤ではその結合を完全に切ることはできません。
そして何よりも問題なのが…、
最も結合が強固でかつ光をキチンと遮ることができる中間体は、このような濁った赤褐色で、
本来ならホワイト領域まで明るくできるブリーチをしても、このように濁ったオレンジ色になってしまいます。
これが、黒染めが次のカラーの邪魔をしやすい理由です。
余談:簡単に落とせる黒染めは無いものと思え
で、ついこの前あった話なのですが…。
市販のカラー剤などでたまに、
「簡単に落とせる黒染め!次のカラーの邪魔をしない♪」
みたいな中々香ばしい謳い文句の黒染めがあります。
ですが、これ落ちません。
ちゃんと邪魔します。
ちなみに、僕が普段させて頂いているフェイクブラックも、ある程度綺麗に落とせて次に色を入れる分には邪魔をしにくいですが、ホワイトに戻せるわけではありません。
また、市販されているカラー剤にも一部、本当に邪魔をしにくいものもあります。
ですが、そういったカラー剤が落としやすく次のカラーの邪魔をしにくいということはつまり、先に述べた中間体を含んでいないということですから、特にブリーチでしっかり明るくされていた方の場合、それ単体で使っても黒にはなりません。
なので、
黒染めをしたらほぼ必ず、完全に落とせることなどなく、次のカラーはできる限界ができるもの
と思ってください。
グレーやシルバーも黒も同じ系統ということは…
グレーやシルバーなどの所謂モノトーン系のお色は、分類として黒と同じ分類です。
ですから黒染めと同じように、大なり小なり光の透過率を下げるための染料が含まれています。
その量は黒染めに比べれば少ないですし、メーカーさんによっては赤褐色以外のお色をベースに作っている場合もあります。
しかし、どちらにしても酸化重合する中間体が多く含まれていることが多いのは間違い無いと僕は考えます。
黒染めほど含まれていない、黒染めとは色味が異なる中間体で構成されているためか、グレーやシルバーが色落ちしても赤茶けた感じにはなりません。
しかし、ブリーチしただけの状態のような金髪に戻ることはなく、色落ちすると僅かに茶色みがかった、ベージュ系のお色になりますよね。
この色落ちしてベージュっぽくなった状態から、残っている染料を落とそうとブリーチしてみても残留が落とせないことが殆どです。
これが、グレーやシルバーなどのモノトーン系のお色をアルカリカラーで作ると次のカラーに支障を来しやすい理由の1つです。
アルカリカラーにほぼ必ず含まれている染料が…
で、話を戻して。
グレーやシルバーなどのモノトーン系のお色をアルカリカラーで作ると次のカラーに支障をきたしやすい理由のもう1つ…。
といっても、先ほど黒染めとほぼ同じなのですが…。
アルカリカラーの大半は大なり小なり中間体が含まれている
もうね、そもそもの話でこれを言い出したらさっきまでの話は何だったんだってことになってしまうのですけれども…。
アルカリカラーの大半には、中間体が大なり小なり含まれています。
特に、9lv以下のカラー剤には、それなりの量が含まれていると僕は考えています。
厳密なことは、どこのメーカーさんも社外秘でしょうから僕にも分かりませんが…。
これまで沢山のお客様の髪の毛をブリーチさせて頂いてきた経験上、アルカリカラーをされていたお客様の大半は、純白にすることはできず、大体黄色味が残ってしまいます。
ですから、基本的にアルカリカラーで染めたら多少は残留するという認識を持っていただけたらと思います。
例えばこれくらい、うっす〜〜〜い色であればそこまで問題ないのですけれどね。
余談其弐:アルカリカラー以外にも残るものはある
これもまた余談なのですけれども。
「アルカリカラーが残留するなら、カラートリートメントとかヘアマニキュアなら良いってこと??」
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、カラートリートメントやヘアマニキュアなどに使われる塩基性・酸性・HC染料の中にも非常に残留しやすいものもあります。
ですから、そういったカラー剤の方が必ずしも良いというわけではありません。
残ること≠悪いこと
で、ここまで話しておいて今更なのですけれど…。
残留してしまうことが、必ずしも悪いことではありません。
残ってくれるということは、色落ちしてもキンキンにならず落ち着いた髪色を維持できるということでもあります。
残りやすい染料とあまり残らない染料を上手く配置して、色落ちしても楽しいデザインを作ることだってできます。
要は今使っている薬剤がどういう特徴があって、それをデザインや髪質に合わせてチョイス出来るか否かが大切なのです。
僕達美容師は、毎日のようにその選定をしています。
更に言えば、初めて使う薬剤は1度毛束で検証したり、モデルさんをお呼びしてテストしたり…。
そういった経験値の積み重ねで、お客様お一人お一人に合わせた選定をし、毎日の仕事の中でその精度を高めていっています。
しかし、市販の薬剤を使う美容師以外の方は、その経験を積むことはできませんよね。
なのでどうしたって、カラー剤売り場にある謳い文句や、友人やネット上の口コミを聞いて、あまりよくわからないまま使うことになってしまいます。
それがトラブルの原因になりやすいだけであって、カラー剤自体に良いも悪いもありません。
それぞれのカラー剤に、様々な特徴があるだけです。
セルフカラーをせざるを得ない方や状況があることも分かります。
ですから、それ自体を悪と言うつもりもありません。
しかし、それ相応のリスクが付随することだけはご承知ください。
次のカラーの邪魔をしにくいHanaのグレー系カラー
ではそういったデメリットもあるグレー系のお色を、僕はどのようにして作るのか…。
①今後ホワイトやパステル系のお色にする予定がない場合
この場合、所謂普通のカラー剤でアルカリカラーで作っても特に問題がないと僕は思うので、シンプルにアルカリカラーで作ります。
とは言え、あまりに残留するもので作ってしまうと少し大変になってしまうので…、
ゴシックグレー・KPシルバー画像
この辺りの、残留しにくいアルカリカラーで作らせて頂くことが多いです。
②今後ホワイトやパステルの予定がなく、なるべく無彩色を長く楽しみたい場合
この場合、染めたての時点でグレーにしてしまうと、グレーが最高潮の状態は染めたてになってしまいます。
グレーからどんどん色落ちしていき、ベージュっぽくなる…。
例えばホワイト領域まで明るくして、少し濃い目のグレーで染めたら色持ちが良くなるのでは??
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際にはそのように染めたとしてもグレー感があるのは最初2週間程度…。
その後はベージュっぽいブロンドにすぐになってしまうことが多いです。
なので、その場合僕は…、
一旦、こちらのお客様のような、濃い目の青紫や紫みの青にさせていただきます。
グレーやシルバーとは掛け離れたお色ですよね。
ですが、このように染めさせて頂くと…、
このように、色落ちでシルバーっぽくなってくれます。
ここに更に、同じような青紫や紫みの青を、秘伝のタレの如く重ねていくと…、
このような深みのあるグレーを色落ちで作ることができます。
更に、残りやすいカラー剤とこのような色落ちをしてくれるカラー剤を熟知し、その配置を拘ってあげれば…、
この仕上がりから…、
2〜3ヶ月後にこのようになる色落ちを作ることだってできます。
最初に青紫や紫みの青になるのが嫌でなければ、恐らくこの方法が最も長く無彩色を楽しんで頂くことが出来るのかなと思います。
③極力次のカラーの邪魔をしないグレーにしたい場合
最後に、次のカラーでホワイト系やパステル系にしたいなとお考えの場合、先ほどのような方法では良くも悪くも残留してしまうので、その場合僕は…、
マニパニグレー画像
この辺りの子達を使って、グレーを作ります。
よく、「マニックパニックなどのグレーはあまり染まらない」とか「変に緑っぽくなったり紫っぽくなったりする…」と言われることもありますが…、
これくらいのベースが整った状態であれば…、
このような、綺麗でニュートラルなグレーも作れます。
マニックパニックなどの塩基性カラーはどうしても、ベースのお色に左右されてしまいます。
なので、ブリーチやベースメイクでどれくらい均一な状態を作れるかが、塩基性カラーでグレーを作る…。
言い換えれば、残留しにくいグレーやシルバーを作る鍵だと僕は考えます。
メニュー:Hanaカラー_full(¥25,000)+Hana式トリートメント(¥5,000)
所要時間:6h
といった感じで。
グレーやシルバーなどをオーダーされるお客様は非常に多いなと感じています。
そんな人気な色も作り方は様々で、どんなグレー・シルバーにしたいかは勿論のこと、今後どうしたいのか・どういう色落ちをさせたいのかによっても変わってきます。
僕はそういった”その日の仕上がり以外の部分”を大切にカウンセリングをさせて頂いております。
事前カウンセリングや当日のカウンセリングはどうしても長くなってしまいがちですし、リスクなどをキチンとお伝えするため「面倒くさいな…。」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ですがそれは、僕を見つけてくださった、僕にカラーして欲しいと思って下さった方に少しでも誠実に対応したいと思っているからなので、どうかご理解いただけたらと思います。
綺麗な髪色、綺麗な色落ち、次のカラーまで想定した仕上がり…。
そして何より、楽しいヘアカラー、髪色を楽しみたいと思っている方は是非ご相談ください。
【華やかで品のある髪色が派手髪】
【当たり前から一歩踏み出した面白いスタイルを】
をモットーに、東京は学芸大学駅から徒歩4分の Al Chem という美容室にてカラー技術ではなく僕の作るデザインをご提供しております。
初めて僕のブログをご覧下さった方は必ずこちらのページを御一読下さい。
・Hanaのブリーチ技術について
・ホワイトヘアにするための条件
・何故1回のブリーチで白く出来るのか
・そもそもホワイトブリーチやケアブリーチって?
・どれくらいダメージするの?
・ブリーチってやっぱり染みて痛いものなの?
といった、僕のブリーチに関する基本的な内容や、よくある質問はこちらの記事に纏めておりますので、こちらも是非ご覧ください。
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