僕のお客様からのオーダーはお色の指定があるにはありますが、
お写真を見せて頂いて「この色にしてください!」
というオーダーは極稀で殆どいらっしゃいません。
ではどのようなオーダーが多いかというと、動植物などの画像を元にしたオーダーだったり、アニメや漫画や絵や写真をお見せ頂いて「この作品・キャラクターの全体の色彩感をイメージした髪色にして欲しい」などが大半です。
格好良く言えば「Hanaのセンスに任せた!」で、ネタっぽく言えば大喜利カラーです。
そんな具体的なイメージソースのあるお任せカラーが多い僕ですが、実はそれも半数程度で、具体的なイメージ画像の無い抽象的なイメージや概念などをお伝え頂く場合も同じくらい多いです。
そういった参考となるものが無い状況で僕がどのような思考や解釈をしているのかについて、今日はお話していきます。
オーダー:アホみたいな髪色にして!
というわけで今回ご紹介するのはこちらです。
ブリーチしっぱなしで色を入れていないブロンドを挟んで、黄色・水色・コーラル・ピンク・ライトグリーンを織り交ぜたこちらのカラー。
こちらのお客様からのオーダーは、
なるべくアホみたいな髪色にして!
でした。
抽象的イメージを具体的にしていくために
今回のような抽象的概念のオーダーを頂いた場合、僕が真先に考えることはその言葉の本質がどこにあるかです。
抽象的概念のままだとふわふわしていて掴み所がありません。
何故かというと、抽象的なものには様々な意味合いが付随したり、色々な要素が複合的に重なって作られているものだからです。
なので聞いてそのままだと、どこにそのワードの本質が在るかがわからないと言うよりも、そのワードを構成していそうな要素が膨大でどれを選んで良いかわからなくなります。
その結果まとまりのない仕上がりやチグハグな仕上がりになってしまったり、最悪の場合普通の可愛いだけの髪色になってしまいます。
なので、それを掴めるくらいまで具体的にしていく必要があります。
今回の場合は”アホっぽい・アホみたいな”というワードの本質。
これを一番最初に考えます。
別のワードで置き換えてみる
”アホ”を言い換えた時にどんな言葉になるか。
今回の”アホ”だと関東と関西で意味合いが変わってくるので、あくまで関東人である僕が考えるになります。
加えて、その言葉が出るタイミングや関係性でも意味が変わってきますよね。
一般的な”アホ”の言い換え
・馬鹿 ・田分け ・愚か者 ・低能 ・無能 ・使えないやつ ・間抜け ・頓珍漢 ・凡愚 ・愚鈍 …etc
あくまでフラットに一般的に”アホ”というワードがどういった意味合いを持つかと考えるとこのようなネガティブなワード・イメージになってきます。
ですが、「僕にこのワードでオーダーをしてくれている」ということの意味。
そしてこちらのお客様の現在置かれている状況や精神状態、それ故に求めるもの等を加味して考えていくと、
今回のオーダーに於ける”アホ”の言い換え
・笑って許せる間抜け ・愛すべき馬鹿 ・可愛いやつ
何故ならば、僕のこのワードでオーダーをされるということは
「Hanaさんならこれくらい雑なオーダーしてもわかってくれるよね??」
という、ある意味甘えてくださっているという意味合いになると考えます。
更に言うと、”アホ”ではなく”アホっぽい”ですよね。
と言うことは、本当にどうしようもないイメージというよりは、むしろ計算高さを感じるような、多分地頭は良いんだろうな〜というイメージ。
加えて、最近プライベートが忙しく少し心が疲れていらっしゃるということでしたから、リセットしたいとか頭の中を一度空っぽにしたいとか。
この言い方が良いか悪いかは絶妙なところですけれど、「ちょっとアホっぽい子の愛されキャラに対する憧れや楽しそうな生き方に対する羨望」みたいなものがあると感じました。
なので、ネガティブから出てきたワードであれどもネガティブに向かっているのではなく、むしろポジティブな意味合いでの”アホ”だと考えました。
イメージの方向性が決まったら…
オーダー頂いた抽象的な概念のどの部分をピックアップしていくのかが明確になって、そこから初めてデザインを考えていきます。
今回であれば、”アホっぽい”でこそありますが、そこに在るのは本質的にはポジティブなイメージです。
なので、使うお色のトーンは暗い・くすんだトーンではなく、ブライト〜ライトトーンくらいの明るくて中彩度以上のトーン。
且つ、溌剌とした印象を与えてくれるお色のチョイス。
同時に、ただアホなだけではなく本当は頭がいい、けれど周りへの印象を考えて敢えてそういうキャラを演じているようなイメージなので、クールだけど優しそうなお色や、柔らかな印象を与えるお色も交える。
上述したように、本当のアホではなくむしろ逆で、合理主義者の究極系のような方の一側面を切り取る形なので、配色は幾何学的に。
幾何学的な配置をしつつ、敢えて塗らない部分を作ることで、本当はめっちゃキチンとしてるけどそこを敢えて気の抜けた部分を作るようなイメージです。
仕上がり
そういった思考経緯の結果、
こんな感じで、黄色・水色・コーラル・ピンク、そして前回のカラーの褪色をそのまま活かしたライトグリーンです。
アレンジはうちのHarukaにお任せしました。
メニュー:Hanaカラー_full(¥25,000)+Hana式トリートメント(¥5,000)
所要時間:6h
といった感じで。
抽象的なイメージを髪色に落とし込む方法なので、あくまで僕はこうするという一例です。
同じワードを同じお客様がお伝えしても、美容師さんによってアンサーは様々でしょうし、同じワードを別のお客様が僕にお伝えしたとしてもまた別の仕上がりになると思います。
何故なら概念を作るのは言葉で、言葉は生き物なので、誰が誰に言うのかによって意味合いは千差万別、故にそれに対する答え方が変わってくるからです。
そして今回のアンサーは正解だと思う方には正解ですが、そう思わない方もいらっしゃると思います。
ですが大切なのはそのお客様ご自身がご自身の意思で満足してくださっているかどうかだと僕は思います。
見た目のことですから周りからの評価も勿論大切ですけれど、それ以上にこういった髪色を身に纏うのであれば、周りや世間の評価がどうであるかよりも自分が好きかどうかを大切にして頂けたらなと思います。
今回のような抽象的なイメージのオーダー。
今回はちょっとネタっぽいワードでしたが、それでも真剣に考えると様々なことが分かりますし、楽しい髪色にしていけます。
なので是非、そういったオーダーをして頂けたらなと思います。
【華やかで品のある髪色が派手髪】
【当たり前から一歩踏み出した面白いスタイルを】
をモットーに、東京は学芸大学駅から徒歩4分の Al Chem という美容室にてカラー技術ではなく僕の作るデザインをご提供しております。
初めて僕のブログをご覧下さった方は必ずこちらのページを御一読下さい。
・Hanaのブリーチ技術について
・ホワイトヘアにするための条件
・何故1回のブリーチで白く出来るのか
・そもそもホワイトブリーチやケアブリーチって?
・どれくらいダメージするの?
・ブリーチってやっぱり染みて痛いものなの?
といった、僕のブリーチに関する基本的な内容や、よくある質問はこちらの記事に纏めておりますので、こちらも是非ご覧ください。
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