ブリーチをする、となった時その目的はと聞かれると多くの方は”髪の毛を明るくする事”と考えると思います。
美容師さんだと”希望の色にできるベースを作る”と考える方もいるでしょう。
ですが、ブリーチで作るベースというのは染めたての色だけでなく、色落ちした時の色にも大きな影響を与えます。
今日は敢えて明るくしすぎないブリーチについてのお話です。
【華やかで品のある髪色が派手髪】
【当たり前から一歩踏み出した面白いスタイルを】
をモットーに、東京は学芸大学駅から徒歩4分の Al Chem という美容室にてカラー技術ではなく僕の作るデザインをご提供しております。
こちらの記事や日々のブログ、スタイルページ、インスタグラムなどをご覧頂いた上、僕の理念や作るスタイルに共感頂けた方は是非LINEオフィシャルアカウントから、友達追加の上ご連絡ください。
Twitterはこちら
Instagramはこちら
チダハナラヂオはこちら
Al Chem オンラインショップはこちら
ブリーチで作るベースの明るさで決まるもの
と、その前に。
所謂ブリーチをする事で髪の毛のメラニン色素は破壊され、
黒→茶→黄色→生成り(白)
といった感じで明るくなっていきますよね。
この明るさの段階によって、染めたてのお色も色落ちの仕方、色落ちした時のお色も変わってきます。
ホワイト領域の染め上がり
僕が普段している仕事の9割はその段階で言うところの生成り、ペールイエローくらいの明るさ。
この明るさになると、少し黄色味を抑えてあげれば白っぽく見せられることから、僕はお客様にホワイト領域とお伝えしています。
この領域だと、基本的にトーンマップ で言うところの高明度領域である
・ブライトトーン
・ライトトーン
・ペールトーン
になりますし、敢えてくすませたり濁らせたりなど、ちょっとした工夫をしてあげると
・ストロングトーン
・ソフトトーン
・ライトグレイッシュトーン
などが作れます。
単純に同じ色をイエロー領域のベースに塗った場合と比較すると、ホワイト領域の方が当然光の透過率が高くなるので、より明るく鮮やかな色合いになります。
また、無彩色であればホワイト〜ブラックまでが作れます。
ホワイト領域の色落ちは…
あくまで紫シャンプーなど色に影響の出るホームケアをしなかった場合。
且つ、色によっても異なりますが…。
例えば最初から、ペールトーンやライトグレイッシュトーンに染めた場合。
そもそも髪の毛に乗せる染料の数が少ないため、
ペールトーンであればホワイトに近いブロンドに
ライトグレイッシュであれば少しくすんだブロンドに
なる事が多いです。
逆に、ブライトトーンやストロングトーンに染めてあげると、髪の毛に入る染料の数が多いので、
ブライトやストロング→ライトやソフト→ペール→ブロンドやホワイトブロンド
といった感じで少しずつ色褪せていきます。
なので僕は、染めたては比較的はっきりとしたお色にさせて頂き、染めたてから色落ちまでを楽しんで頂く事が多いです。
最初から薄くしてしまうと、すぐに色落ちしちゃいますからね。
閑話休題
イエロー領域の染め上がり
イエロー領域の場合ホワイト領域よりも残るメラニン色素の数が多いため、光の透過率が下がります。
なので、作ることのできるトーンは
・ディープトーン
・ダルトーン
・ダークトーン
・グレイッシュトーン
・ダークグレイッシュトーン
などになります。
無彩色だとシルバーを作るには明度が足りないため、グレー〜ブラックにできます。
イエロー領域の色落ちは…
イエロー領域の場合、ホワイト領域のベースにカラーをした場合と異なり、毛髪内部にまだ黄色のメラニン色素が残っているため染めたてのお色がそのまま薄まるような色落ちはしません。
ある一定ラインまではそういった色落ちをしてくれますが、カンバスである髪の毛に黄色が残っているため、ある程度色落ちしてくると薄くなった染料と黄色が混ざった色になります。
例えば赤であればオレンジっぽく。
青系であればベージュっぽく。
紫の中でも青味によっているものは一度グレーを経由してベージュに、赤みによっているものはそのままベージュっぽく…など。
どうしても土台にある黄色に引っ張られた色合いになってきます。
良い悪いではなく、好みの問題
こういった話をすると、
「ならホワイト領域までブリーチした方が綺麗な色落ちをするってこと??」
と思われる方も少なくありません。
ですが、何を以て綺麗とするか、良いとするかなんてものは個々人の感覚に依ります。
ですから、どちらが良い悪いではなく、どういう色合いが好きでどうしたいのかを基準に考えてもらえたらと思います。
ベージュっぽい色落ちをさせるバイオレットヘア
で、今日の本題。
今回のお客様は3月に1度カラーをされただけのほぼヴァージンヘアの方。
オーダーはベージュっぽい色落ちをしてくれる暗めの、かなり暗く黒に近いくらいの紫。
ディティールはお任せ。
なんですけど…、
なんか…、おかしい…。
熱変性による沈み込み
で、事前カウンセリングの情報を見直してみたら、縮毛矯正などはしていない。
本当にカラーしかしていない髪の毛。
なのですが…、
アイロンを160度で週2〜4回されていた、と。
で、アイロンの当て方などを聞いたところ、恐らく原因は熱変性。
ざっくりですが…、
髪の毛はタンパク質でできています。
お肉や卵などと同じように、タンパク質は熱を加えると固まる性質があります。
ドロドロの生卵が茹で卵のように固まる感じ。
これを熱変性と言います。
髪の毛の場合、何もカラーやパーマなどをしていない健康毛の乾いた状態で130度から起きると言われています。
この熱変性が起きると、髪の毛の中のタンパク質の体積が減り隙間ができます。
この隙間に、カラー剤がグッと入り込んでしまうため、熱変性をしている髪の毛に安直にカラー剤を乗せると毛先の方が暗くなってしまう事があります。
ここまで、テストに出るので覚えておいてくださいね。
ちなみに対処法は、”沈み込まないようにする”です。
美容師さんなら勿論知っているはずですから、割愛しますね。
閑話休題
とりあえずブリーチ
兎にも角にもブリーチをしないことには話は進まないので、熱変性で沈み込んでしまった部分が少しでも明るくなるようにブリーチをしていきます。
ただ、沈み込んでしまった染料を取り除くことって結構難しい上に、そもそも熱変性毛はブリーチをしても明るくなりにくい傾向にあります。
更に、熱変性をすると髪の毛の弾性が失われてしまうため、ブリーチによるダメージの影響も大きくなってしまいます。
なので、かなり慎重になりながら…。
目指すは均一だけど、せめて根元の方が明るくなりすぎないようにブリーチをして…、
うん、毛先の方が明るいベースは作れた。
理想は根元から毛先まで均一なベースです。
しかし、根元か毛先どちらかが明るくなるのであれば、毛先の方が自然に綺麗に見えてくれます。
今回のオーダーはベージュに色落ちしてくれる暗めの紫。
その中でも黒に近いくらい暗い紫を御所望。
ディティールに関してはお任せだったので、根元から中間までが十分な明るさになってくれていれば、毛先の方が明るい分にはグラデーションぽくて可愛いかなと。
オンカラーして完成
で、ベージュっぽい感じの途中で少しグレイッシュな感じも通って楽しんでもらえたらと思いこうしました。
根元から中間あたりまでは、アニメの黒髪キャラみたいな紫。
毛先の方は巻いて光が透けているのもあって、良い具合に紫感が出てくれています。
ご自宅で使うシャンプー剤などのホームケアにも依りますが、大体1週間ほどで紫みが落ちていきグレーっぽく。
そこから1〜2週間かけてベージュっぽい感じになっていき、そこからはかなり長い時間をかけて色落ちしていきます。
メニュー:シンプルカラー(¥15,000)+Hana式トリートメント(¥5,000)+ハルカカット(¥6,600)
所要時間:5h
といった感じで。
どういう色に仕上げたいか、どういう色落ちをさせたいかで作るべきベースは決まってきます。
それはどちらが良い悪いではなく、どちらが好みかで決めて頂くものなので、僕のブログを参考に、”どういう色落ちをさせたいか”まで考えてもらえると嬉しいです。
どんなお色も色落ちも綺麗に作るので是非ご相談ください。
コメント