ブリーチをするにあたり、黒染めや暗いブラウンをしていると染料が残留し明るくなりにくくなってしまったり、縮毛矯正をしているとダメージで明るくしきれなくなってしまう場合があることはよく耳にしますよね。
僕のブログでも、そういった記事はいくつか書いております。
また、ブリーチした後の髪の毛の扱い方についても、よく見かけますし僕もブログ内でお伝えしています。
しかし、意外と知られていないのが、ブリーチ前の髪の毛の扱い方。
カラーや縮毛矯正をしていなくても、明るくなりにくくなってしまったり、ダメージが進行してブリーチに耐えられなくなってしまったりします。
今日はそういった、ブリーチ前に気をつけて欲しいことについてお話しします。
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ブリーチをする上で1番の敵は”熱”
僕のお客様は今のところ9割くらいがブリーチをされるお客様です。
ハイライトも含めればほぼ100%に達ます。
つまり毎日朝から晩までブリーチをさせて頂いているわけですが、その中で黒染め履歴があることよりも圧倒的にブリーチが難しくなってしまう原因があります。
それは、日々のアイロンで過度に熱が加わってしまっている髪の毛です。
髪の毛は主にタンパク質でできている
以前にも何度もブログで書いておりますが、髪の毛の主成分はタンパク質になります。
髪の毛の場合、ケラチンというどちらかというと硬いタンパク質です。
タンパク質の種類は一旦さておき。
基本的にタンパク質は、熱を加えると硬くなる性質があります。
一番わかりやすいのが卵。
熱が加わっていない生卵のだとドロドロの状態ですが、焼いたり茹でたりと熱を加えることで固まりますよね。
この熱で固まることを熱変性と言います。
卵やお肉と比べると1本1本が細いため判りづらいですが、髪の毛も同じことが起きます。
熱変性すると髪の毛はどうなるの??
この熱変性が髪の毛に起きると、
・タンパク質が固まってしまいブリーチ剤が浸透しにくくなる
・タンパク質が固まることで体積が減り、その分出来た隙間に分子量の小さい染料は入り込み想定以上に暗くなってしまう
・熱変性が起きるほどの熱が与えられているということは、毛髪中の水分や油分も失われてしまい、弾性がなくなってしまう
といった状態になってしまいます。
伸ばしたり曲げたりと髪の毛の形を変えるのに必要な熱ですが、行き過ぎるとこのような弊害が起きてしまうのです。
何度で熱変性が起きるの??
ではその熱変性は何度くらいから起きてしまうのか。
現在の毛髪化学では、髪の毛の場合カラーもパーマも縮毛矯正もしていない健康毛で、
・乾いた状態で130度
・濡れた状態で60度
から熱変性し始めると言われています。
なので、理想としては130度以下、120度とかで行ってもらえると最高です。
勿論、仮に180度に設定したアイロンを使ったとして。
その180度のアイロンが髪の毛に触れた瞬間髪の毛も180度になるわけではありません。
しかし、やり方によっては髪の毛が130度以上に達してしまうので、アイロンの当て方には注意が必要です。
絶対NGなアイロンの当て方
アイロンを使う時、特に癖毛で広がることが悩みという方は、アイロンでしっかりストレートにしようとしてグッと挟んでしっかり伸ばそうとしてしまうと思います。
しかし、そのやり方をしてしまうと、髪の毛は一気に傷んでしまいます。
こちらの僕が推奨するブリーチ毛の正しい扱い方の記事内でも書いておりますが、
アイロンのプレートでグッと挟んでプレスするようなやり方は絶対にNGです。
アイロンを通したい毛束を持つ手の方でしっかりと髪の毛が張った状態にし、そこからサッと通すだけにしてください。
プレスしてしまうと熱と圧で髪の毛が押し潰された状態で固まってしまいますし、プレスすると数秒間髪の毛が熱に晒されることになります。
なので、できるだけ130度以下で、サッと通すように心掛けてください。
アイロンのし過ぎな髪の毛にブリーチすると…
で、今日の本題。
「ブリーチ後の髪の毛にアイロン使うときは、これくらいの温度でこういう風にしてくださいね〜。」
みたいな記事はよく見かけるけれど、ブリーチ前に気をつけるべきこととしてお伝えしている記事やポストは中々見かけないなと思い書いた次第。
というわけで、日々のアイロンで髪の毛が熱変性してしまった髪の毛をブリーチするとどうなるのかについて書いていきます。
熱変性毛にブリーチすると…①
まず1番に問題になるのが、
カラーもパーマも一切していないヴァージンヘアでも、明るくなりにくくなってしまう
ということ。
前述したように、髪の毛のタンパク質が固まってしまうと、ブリーチ剤は浸透しにくくなるためか、熱変性していない部分よりもかなり明るくなりにくくなってしまいます。
こちらの方は根元から毛先まで、カラー履歴もパーマ・矯正履歴もない状態でした。
しかし、写真を見て頂いてわかるように、毛先の方なんてまだ全然オレンジが残っていますよね。
確かに、毛先の方は薬剤の乗る量が少なくなってしまうため、根元の髪の毛が密集している部分と同じ量の薬剤を塗布しているつもりでも塗布量が少なくなってしまい、明るくなりにくい部分ではあります。
ですから、当然根元から毛先まで塗布する場合、それを前提とした塗布をしていきますからヴァージンヘアであればなんの問題もなく根元から毛先まで均一に明るく出来ます。
しかし、熱変性をしてしまっているとブリーチ剤が浸透しないためか反応が鈍くなり、均一に明るくなるような塗布をしていても、毛先の方にオレンジが残り根元の方よりも暗くなってしまうのです。
しかも、このような状態になってしまっている髪の毛は、いくら頑張ってもホワイト領域まで明るく出来ず、良くてイエロー領域、最悪オレンジ領域で止まってしまいます。
この明るくなりにくくなってしまうということが、過度なアイロンは避けるべき理由の1つです。
熱変性毛にブリーチすると…②
そしてもう一つ、髪の毛が明るくなりにくくなってしまうこと以前の問題として、
過度なアイロンで熱変性してしまうと、髪の毛の耐久性が著しく下がりそもそもブリーチができなくなってしまう
ということ。
前述した通り、熱によって髪の毛の弾性は失われてしまいます。
弾性というのは非常に重要です。
例えば木の枝。
太さにもよるとは思いますが、乾燥した木の枝と乾燥していない木の枝があった時、乾燥した枝は簡単に折れるでしょうけれど、乾燥していない枝は中々折れませんよね。
外からの負荷に耐えられるか耐えられないかという点で、髪の毛が切れることと枝が折れることは似たようなものです。
しっかりと水分や油分があれば、しなり・たわむことで力を逃すことができますが、乾燥してしまうとそれが出来ず簡単に切れて(折れて)しまうわけです。
先ほどのこちらの方は、毛先のオレンジは元より根元の方も黄色味が残っていますよね。
こちらの方も、本当はホワイト領域まで明るくして紫を入れ、シルバーっぽい色落ちをさせる予定でした。
僕のホワイトブリーチはこちらの記事で書いている通り…、
ブリーチ剤が反応する限界までしっかりと反応させた後、髪の毛を明るくするのに必要な材料を足してあげることで1回のブリーチで白くできる領域まで持っていきます。
その為に、全体の塗布後一旦時間を置いて、その後最初に塗った薬剤の反応が鈍くなるタイミングで、ブリーチ剤ではありませんが反応を再開させるための再塗布していきます。
その一時放置後の再塗布の前に、必ず”どれくらい明るくなっているか・何がどう残留しているか・毛髪強度は充分か”をチェックします。
そのチェックは目視は勿論、強度に関しては髪の毛を引っ張って確認します。
このチェックの基準はざっくり、
・ちょっと伸びる
→許容範囲、ブリーチ剤による髪の毛の膨潤故なので問題なし
・切れる
→完全アウト。そもそもそうなりうる髪の毛にブリーチはしない。
・結構伸びて元に戻らない
→ギリッギリのギリでセウト。目標明度に届いていなくても速攻流してリカバリー。
という感じで考えています。
これはまぁ、経験による感覚と言わざるを得ないですし、人によって様々だと思いますが…。
で、今回の方はまだギリギリどうにかできるけれどこれ以上薬剤を反応させるのは危険な”伸びて元に戻らない状態”になっていました。
熱の影響度合いはブリーチしてみないことには断言できない…
沢山の方の髪の毛をブリーチさせて頂いていると、問診・視診・触診である程度何がどうなっているのかの予測は立てられますし、経験を積めば詰むほどその精度は上がります。
しかし、どれくらい明るくなるか、どこまでブリーチを反応させられるかは、あからさまにボロボロとかではない限り、断言することは難しいです。
だからこそ、僕は反応が非常に穏やかなブリーチ剤を使い、様子を見ながら慎重にブリーチをしていきます。
今回のようなケースも、問診の時点で”温度設定の出来ない、オンオフしかないストレートアイロンでほぼ毎日癖を伸ばしていた”ということでしたから、ある程度明るくなりにくいことは予測できました。
しかし、実際にブリーチをしてみないことにはどこまで明るくでき、どこがダメージのK点になるかは断言できません。
カラーやパーマ・矯正の履歴がなくても、日々のアイロンが過度なものであると、今回のように目標とする明るさにできなくなることもあります。
それはつまり、ご希望のお色にできない可能性は勿論、ご希望の色落ちも作れない可能性があるということ他なりません。
高校生くらいになると多くの方がアイロンを使い始めると思いますが、アイロンの温度は高ければいいというわけではありません。
無理やり伸ばしたり無理やり曲げるのもNGです。
高校卒業したら綺麗にブリーチして好きな髪色にしたいと思うのであれば、
こちらの記事を参考に、髪の毛への負荷が極力少なく済むやり方にしてください。
ちなみに…
過度なアイロンの熱で髪の毛が熱変性をしていると明るくならなかったり、ダメージ度合い的に明るくできる限界が生まれてしまうわけですが…、
一応、このように紫とか青とか、一般的に難しいと言われている色もできるにはできます。
ただし、ホワイトやブロンド、ホワイト領域のベースが必要になるシルバーやパステル系のお色、ホワイトっぽい色落ちをさせることはどうしてもできなくなってしまいます。
なので、そういったお色をご希望の方は普段からアイロンの温度と当て方に気をつけましょう。
可能な限り頑張るけど、原理原則を捻じ曲げることはできないので。
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