コロナですから。
全てはこの一言で終わりますけれどね。
コロナですから。セルフカラーも致し方ないですよね。
けどね、セルフカラー、市販の薬剤を使って染めるって、実はとっても怖い事なんです。
今日はそういった、セルフカラーで思わぬ状態になってしまっていたお客様のお話です。
【華やかで品のある髪色が派手髪】
【当たり前から一歩踏み出した面白いスタイルを】
をモットーに、東京は学芸大学駅から徒歩4分の Al Chem という美容室にてカラー技術ではなく僕の作るデザインをご提供しております。
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市販のカラー剤で染めていると…
薬局などに行けば売っている市販のカラー剤。
最近は色数も増えて、アッシュ系の中にも様々なお色があったりしますよね。
今回ご紹介する方も、市販のアッシュ系やグレージュ系…、グレーとベージュの中間のような赤みの少ない寒色よりの薬剤で、3〜4回セルフカラーをされていたそうで…。
そう。
赤みの少ないお色で染めていたんですよ。
いいですか?
もう一度言いますね。
赤みの少ないお色で染めていたんですよ。
では、その色落ちはどうなっていたかというと…、
こうです。
分かりますか??
特に左側の方とか、光に透けて見えている色。
めっちゃ赤いですよね。
勿論、真っ赤というわけではありませんけれども。
茶色の中で見たらかなり赤みが強い状態ですよね…。
例えアッシュやグレージュのような一般的には赤みが少ないとされる色であっても、市販の薬剤だとこういう状態になってしまう事が殆どです。
市販の薬剤ってどういうものなの??
よく美容師さんは、
「市販の薬剤は絶対ダメですよ〜。」
って言いますけれど、実際に何がどうダメなのか。
細かなことを語り出すととんでもなく長くなってしまうので、ざっくり要点だけ説明すると…、
市販のカラー剤の特徴その1〜誰が使うかわからない〜
市販のカラー剤って誰が使うかわからない、言い換えればどんな髪質の人が使うかわからないですよね。
髪の毛が細くて柔らかく染まりやすい髪質の方が使うかもしれませんし、硬くて水や薬剤を弾きやすく染まりにくい髪質の方が使うかもしれません。
染まりやすい方は極論、どんな薬剤を使っても染まりますが、染まりにくい髪質の方の場合多少薬剤のパワーが強いものを使わなければなりません。
この薬剤のパワーというのは、1つは髪の毛のキューティクルを開く力。
もう1つはカラー剤に含まれるブリーチの力。
こちらの記事でも書いてあるように、カラー剤はブリーチと染色を同時に行っています。
それによって髪の毛に含まれるメラニン色素が壊され、黒い髪の毛が茶色くなるわけで。
髪の毛を染めて、色落ちするとまた黒髪に戻るなんてこと無いですよね。
市販の薬剤の場合、実はかなり強いブリーチ力を持っているものが多いです。
そういったキューティクルを開く力やブリーチ力が強い事でダメージが大きくなってしまう事が、市販の薬剤を避けるべき理由の1つです。
市販の薬剤の特徴その2〜色落ちが早いと売れない〜
もう1つの理由はその1から続く理由なのですが…、
キューティクルを開く作用が強かったり、ブリーチ力が強い薬剤ってどうしても色落ちが早くなってしまったり、色落ちしたときにキンキンになってしまったりします。
すると、「〇〇の薬剤は色落ちが早い!」となってしまって売れなくなりますよね。
どんな髪質の方が使うかわからない以上、薬剤のパワーを強めなければならないわけですが、その分色落ちに影響してきます。
そこで、そのトラブルを避けるために非常に残留性の高い染料を沢山含んでいたりします。
残留性の高い染料とは、それこそ黒染めや白髪染めなどに含まれているもの…。
色で言えば、暗い赤褐色になります。
これが入る事で、茶色い状態が長く続き、そこまで色落ちした感じがしなかったり、キンキンにならずに済むわけで…。
しかし、そういった染料は黒染めなどと同じように、ブリーチしても落とせない場合が多いです。
しかも、その残留してくれる赤褐色の染料は、市販の薬剤のほぼ全ての薬剤に含まれています。
どんな色にも、含まれているわけです。
アッシュとか、グレージュとか、一見赤褐色とは関係のなさそうな寒色系のお色にも含まれています。
だから、グレージュやアッシュ系などの一般的に赤みが少ないお色で染めていたとしても、色落ちするとこのように赤みが強い茶色になるわけです。
これが、市販の薬剤を避けるべき理由の2つ目です。
美容室の薬剤を使えばOKというわけでは無い
「市販の薬剤はこういったリスクがあるんですよ〜。」
的なお話をすると、
「なら美容室で扱ってる薬剤で染めればいいのか!」
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、それもNGです。
何故なら、美容室で扱っている薬剤と言っても物凄く膨大な量があり、様々な特徴があります。
それこそ市販の薬剤のようにブリーチ力が強いもの、染料を残せるもの。
逆に、ブリーチ力が非常に弱く黒髪には殆ど染まらないものや、殆ど残留しないもの…。
僕たち美容師はそれら薬剤の特徴をキチンと調べたり実験し、知識と技術と経験を持ってその方の求める染めたてのお色、色落ちした時の状態、髪質などを踏まえた調合をします。
ですが、美容師でない方の場合、膨大な薬剤の中から選び検証する事は難しい…、ほぼ不可能だと思いますし、知識も技術も美容師に比べると無いと言わざるを得ませんから、市販の薬剤で染めるよりもダメージが進行したり、とんでもないムラになってしまうかもしれません。
そもそも、ご自身の髪質を真に正しく理解されている方はごく少数だと感じます。
ですから、市販の薬剤は勿論NGですが、だからと言ってプロ用の薬剤を使えばいいというわけでもなく、そもそもセルフカラー自体どうしようもない事情がなければ避けるべきものと言わざるを得ないわけです。
市販のカラー剤でセルフカラーをしていた髪の毛をブリーチすると…
では、実際にそういった履歴の髪の毛をブリーチするとどうなるのか…。
今回はインナーカラーをご希望だったので、インナー部分をブリーチしましたが…、
1回目の放置でこんな感じ。
かなりオレンジ…、と言うかちょっと明るい茶色くらいの状態ですよね。
流石にこれでは、青が青として発色出来るか微妙なラインなので、一旦根元から毛先までに塗ってあるブリーチ剤を指で絞るように削ぎ落として。
根元はこれ以上明るくならないように、赤みが強い中間から毛先にはもう少し明るくなるような薬剤を塗布していきます。
放置中断、再塗布後やっとシャンプー台で流した状態がこちら…。
ナイスオレンジ!
まぁ…、残るよね。
中間から毛先は、本来ならホワイト領域まで明るく出来るくらいのブリーチをしています。
しかし、どう足掻いてもこれ以上明るくなることはなく、ダメージが進行するだけと判断しここまでで。
それに合わせて、根元もホワイト領域まで明るくならないように塗布をしています。
根元の方は不必要に明るくしてしまうと、根元の方が鮮やかで毛先の方がくすんだ状態になってしまいます。
そういったスタイルも可愛いですが、今回目指すところはベーシックな仕上がりなので、根元はイエロー領域で止めました。
市販のカラー剤で染めるということは…
このブリーチの結果を見てもらうと、ある色に染めてた方をブリーチした状態に似ていますよね…。
そう、
黒染め履歴のある方のブリーチ後の状態。
前述したことを踏まえると、
市販の薬剤でセルフカラーをするということは、
ブリーチして黒染めすることと同義。
ということです。
ダメージレベル次第で出来ることは決まる
じゃあ何もできなくなるのかというとそういうわけではありません。
確かに、ホワイトヘアやホワイト領域のベースが必須になってくるシルバーやパステル系のお色はほぼ不可能と言わざるを得ません。
しかし、暖色系であれば作れる事が多いですし、トーンマップ で言うディープトーンよりも低い明度のお色であれば作れることもあります。
但し、ダメージの進行状態によってはそもそもブリーチできない場合もありますし、そればかりは事前カウンセリングでの問診だけでは判断できません。
実際にご来店頂き、視診触診をして初めて出来るかどうかの判断になります。
こればかりは実際の状態を見てみないことには断言できないので、ご了承くださいませね。
オンカラーして仕上げ
このまだまだ赤みが強く残っている状態から、なるべく均一かつ根元の方が暗くくすむような調合と塗布をして…、
こうなりました。
なんとかちゃんと青。
にしてもチダの巻きが可愛いんじゃ…。
メニュー:シンプルカラー(¥15,000)+Hana式トリートメント(¥5,000)
所要時間:4h
といった感じで。
もしかしたらこの自粛期間中にセルフカラーをされてしまった方もいるかもしれません。
市販の薬剤で染めていると、このようになってしまうことが大半です。
けれど、その中でも可能な限りご希望に近づけられるように最前は尽くしますので、先ずは包み隠さず履歴を教えて頂き、ご相談頂ければと思います。
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