普段、いつも通りの時間に起きて大体いつも通りの時間に出社し、いつも通りの仕事をしていつも通りの時間に終わり帰宅し、いつも通りの時間に寝る…。
みたいな生活をしていると…、というか恐らく大多数の方もそういう生活だと思うのですけれども。
漫画や小説程毎日がどったんばったん大騒ぎなんてことそうそう無いわけで…。
兎角、そういう普段を過ごしていると、段々と自分の行うコトが絞られてきて、よく言えばルーティーン化、悪く言えばマンネリ化していきますよね。
そんな時に、自分とは違う普段を過ごしている人との交流があると、「そう言えばそんなのあったな…。」と思い出させてもらえたりします。
そういう友人らが周りにいる自分は、人に恵まれているなと熟思います。
今日はそんな、友人の一言で思い出した技法を使ったカラーの紹介です。
・全体ブリーチはしたくないけどなるべく明るい髪色や鮮やかな髪色にしたい方
・過去のカラーや縮毛矯正の履歴、普段のアイロンなどで切れ毛が酷くなってしまった方
に是非ご覧頂きたい内容になります。
全体ブリーチではなくハイライトで作る大人の赤髪
今回ご紹介するのはこちらの…、
深みのある、落ち着いているけれども鮮やかな、大人っぽい赤髪です。
こちらのカラーをさせて頂くにあたり、今回は全体ブリーチはしておりません。
ウィービングという、一般的に”ハイライト”と言った時に多くの方が思い浮かべるような細かな筋をたくさん作る技法で作らせて頂いています。
なぜその方法にしたのか、具体的にどのように行ったかというと…、
セルフカラーや普段のアイロンなどでダメージが…
こちらがビフォアの状態なのですが、よく見て頂くと頭頂部あたりの毛が中間あたりで切れてしまい、ナチュラルレイヤーが入ってしまっていることがお分かり頂けるかと思います。
何故このような状態になってしまっているかというと…。
1年ほど前までホワイト領域近くまで明るくさせて頂いておりました。
そこから訳あってトーンダウンをせざるを得なくなり、ちょうど1年前くらいに黒に近いところまでトーンダウン。
その後、何度かメンテナンスで来て頂いていたのですが、今回のコロナの影響でお越し頂くのが難しくなってしまい、近場の美容室で1回セルフで1回、カラーをされておりました。
ホワイト領域までブリーチしていた髪の毛の場合、その後どんな明るさにしていたとしてもホワイト領域まで明るくしていた事実は消えません。
どんなにダメージを最小限に抑えるブリーチ技術やトリートメント、ご自宅でのケアをして頂いたとしても、それ相応のダメージは追うことになります。

そのような非常に繊細な状態になっている髪の毛に、安直にカラー剤の調合を決めることはできません。
僕がホワイト領域の髪の毛をトーンダウンさせて頂く時は必ず、その状態にあったパワーや処理を駆使して、可能な限り最小限のダメージで行えるようにします。
ですが、非常に言い難い事実なのですけれど、全ての美容師さんがホワイト領域の髪の毛の扱いに慣れているわけではありませんし、それ故にそういった発想がそもそもない方もいらっしゃるそうです…。
それに加えて、市販のカラー剤によるセルフカラー…。
市販の薬剤は、極端な表現をするとブリーチと同じくらいのパワーと、黒染めと同じくらい残留する染料を有している非常に強い薬剤になります。
ですから今回の場合、”ホワイト領域まで明るくしていた髪の毛に更にブリーチをした”状態になります。
…そりゃ流石に切れ毛にもなってしまいますよね。
更に言うと、セルフカラーなので矢張りムラも多くありました。
それに加えてこちらのお客様はお仕事柄人前に出ることが多く、アイロンなどでキチンとスタイリングをされることが多いです。
日頃から髪の毛をキチンとスタイリングされたりすることはとても良いことなのですけれど、その際のアイロンの温度や当て方に気をつけなければいけません。
熱によるダメージ、熱に摩擦が加わったダメージというのは、非常に驚異的なものなので…。


そのような理由から、既に中間あたりからの切れ毛が発生していたため、この状態の髪の毛に全体ブリーチをすることは、どんなにブリーチのパワーをコントロールしたとしてもリスクが大きすぎる…。
ムラを完全に修正するにも、その作業をしている間に髪の毛が耐えられなくなる可能性もある…。
なので、今回は全体に細かいハイライトをたくさん入れることで、ダメージを最小限に抑えつつ、人工的で整ったムラを作ることでセルフカラーによる意図しないムラを誤魔化すという方法を選びました。
ダブルチップウィービングとは…
というわけで今回のメインテーマ、ダブルチップウィービングは具体的にどのようにしているのか。
シングルチップ(通常のウィービング)
先ずはシングルチップ、所謂通常のウィービングのやり方は…、
通常のウィービングの場合、このようにスライス(1つの毛束)から髪の毛を筋状に掬い取るようにしてチップ(細かな毛束)を取り…、
髪の毛一本一本に薬剤が乗るように塗布をしてフォイルを畳んでいきます。
通常のウィービングの場合、シンプルにこれを繰り返すだけです。
ダブルチップの場合
ダブルチップの場合、
スライスを取ったら、一度通常のウィービングでチップを取り、そのチップを持ち上げて留めておき、
通常のウィービングであれば落としておく毛から再度チップを取り…、
下段は中間あたりや毛先だけなど、任意の位置から薬剤を塗布し、
上段は根元からなど、下段よりも高い任意の位置から塗布します。
すると、このように1つのスライスにフォイルが2枚重なることになります。
ダブルチップウィービングの効果・目的
このような”1つのスライスに2枚のフォイルを入れるダブルチップでウィービング”でハイライトを入れていく効果はと言うと、
切れ毛のあまり無い方の場合
正直、切れ毛がそこまで多くない方の場合、ダブルチップを選択することはあまり多くはないのですが、勿論メリットがちゃんとあります。
それは、
クッキリとした筋と、毛先に明るい毛が溜まりグラデーションカラーのような見え方をしてくれる。
ということ。
ダブルチップウィービングの場合、先ほどの画像のように
根元の方から明るい筋が入る部分と、
中間から毛先の方だけに明るい筋が入る部分を作れます。
そうすることによって、
根元から入れた方は根元から毛先に向かって綺麗な筋状に
中間からや毛先に入れた方は毛先の明るさを作る要素に
なるため、所謂”グラデーションカラー”のような見え方をしてくれます。
グラデーションカラーとの違い
では「グラデーションカラーとの違いは?」というと…。
・グラデーションカラーの場合
→バックコーミングやサイドグラデーション、バレイヤージュを使った一般的なグラデーションカラの場合、毛先は全て明るい毛(ハイライト)になる。
・ダブルチップウィービングの場合
→あくまでウィービングで行うため、ブリーチなど明るくする薬剤を塗らない毛も存在するので毛先に明るくしていない毛が混在する形になる。
という違いになります。
どちらが良い悪いということは決して無く、あくまで”好みの問題”であったり”なりたい理想像に対してどちらをするべきか”という話です。
強いて言うのであれば、筋感をしっかり出しつつ、よりナチュラルなグラデーションにしたいと言う方はダブルチップウィービングで作る方が良いという感じです。
切れ毛が多い方の場合
切れ毛が多い方の場合、シングルチップのウィービングでハイライトを入れてしまうと失敗してしまう可能性があります。
何故なら切れ毛が多い方の場合、髪の毛全体の中に短い毛が混在しています。
これを普通にウィービングで掬い取ると、
この写真でもわかると思いますが、チップ1本の中で根元に比べ毛先が細くなっています。
切れ毛が多いわけですから、このようにスライスを取ったりチップを取ったりしたときに、途中までしかない毛が混在しているわけです。
その状態の髪の毛に、シングルチップで根元から毛先まで薬剤を塗っただけだと
”根元の方は毛が多い分明るく見えるが、毛先の方は毛が少ない分暗く見える”
という、ネモキンと呼ばれるような毛先が暗くて根元が明るい不自然で綺麗になり難い状態になってしまいます。
それを回避するために、
片方は根元から、
もう片方は切れ毛で短くなっている毛のあたりから。
明るくなる部分を2段階に分けることで、自然なウィービングによるハイライトが入ったスタイルに仕上げます。
濡れている上に毛先の方はダメージで水を沢山吸い込んでしまうため、暗くて分かり難いかと思いますが…。
実際に見ると根元の方が暗い毛が多く、毛先にいくにつれて明るい毛が多い状態になっております。
仕上がり
で、仕上がったのがこちらです。
根元の方に暗い毛が多く、毛先の方は明るい(赤い)毛が多いのがお分かり頂けるかと思います。
メニュー:Hana式ナチュラル(¥20,000)+Hana式トリートメント(¥5,000)
所要時間:4h
といった感じで。
ダブルチップウィービングは切れ毛がそこまで多くない方にも勿論有効な技術ですが、切れ毛が多くなってしまいハイライトが綺麗に入らなくて悩んでいらっしゃる方には特にオススメな方法です。
筋感はしっかり出しつつもよりナチュラルなグラデーションカラーにしたい方や、切れ毛が気になるけれど綺麗なハイライトを入れたい方は是非ご相談ください。
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