様々なSNSやネットで、よく「髪質によっては〜。」という文言を見かけます。
ことブリーチやヘアカラーに於いて多いのは、
「髪質によりますがブリーチ○回」
「髪質によっては出来ない」
「ブリーチしやすい髪質」
などなど。
では果たして髪質によって何がどう変わるのか…。
今日は、僕自身が”何年も毎日ホワイトブリーチをさせて頂いている中”で感じ、考えたことについて今日は纏めていこうと思います。
これから書いていく事は主にホワイトブリーチをする上で、ホワイト領域まで明るくする上で乃至は、ホワイト領域のベースが必要になるシルバーやパステル系カラーをする上での話です。
所謂ホワイトブリーチではなく、普通に明るくする上でや普通に鮮やかなお色にする上では、少なからず影響はあれども後述する原因に依って全く何も出来なくなるわけではないのでご安心ください。
”髪質”とは
そもそもの話、髪質とは具体的に何を指すのか。
まずこれに対する共通認識を確立していきたいと思います。
髪質を決定する要因
髪質とは、主に
・硬さ
・太さ
・形状
の3つと、宗派によりますが、
・吸水性
も加えた4つの要素で決定される、その髪の毛の本質です。
それぞれを決定する要因はキューティクルの硬さ・内部物質の密度・水分量などが関わって来ます。
髪質に依るブリーチへの影響
ではその髪質の違いに依って、ブリーチをする際に影響はあるのか。
そもそも何に対しての影響なのかを踏まえてお話ししていくと…、
髪質に依るブリーチ時のダメージへの影響
髪質によって、ブリーチをした時にダメージの仕方に違いがあるのかどうか。
これは間違いなくあると僕は確信します。
というのもブリーチというのは、非常に強い酸化作用によって髪の毛のメラニン色素を破壊することにより髪の毛を明るくしているわけです。
こちらの記事でブリーチの反応について詳しく書いておりますので是非合わせてご覧下さい。
閑話休題
ブリーチは強い酸化によるメラニンの破壊をしているわけですから、そのパワーに耐えられるかどうかという意味では、髪質に依る影響というのは間違いなくあります。
しかし、ここで難しいのは髪の毛が硬くてしっかりしている方がダメージに耐えられ、柔らかい方が脆い”というわけではない”ということ。
意外かと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、僕の経験ではむしろ逆だと感じています。
太くて硬くて強そうな髪の毛ほど、逆にダメージを受けてボロボロになりやすく。
細くて柔らかくて弱そうに見える髪の毛が逆に、ちょっと無茶をしても耐えてくれたりします。
Hanaの考えるその理由
ここから先は僕の経験からくる考察なので、科学的根拠があるわけではないということを前提にお読み頂きたいのですが…。
というよりも、そもそもの前提としてブリーチと髪の毛の関係性はわかっていないことの方が圧倒的に多いです。
ですから、現時点でわかっていること乃至は前提となる研究結果を元に、実際の施術の結果を照らし合わせながら僕が考えたことになります。
その中で、髪質が硬いほど脆く、柔らかい髪の毛ほど耐えられることが多い理由は、恐らくブリーチ剤自体の作用ではなく、それに付随する物理的負荷に対する抵抗力であると愚考します。
というのも、髪の毛の話とは逸れるのですが、よく”最も硬い鉱石”の代表に挙げられるダイヤモンド。
あれって実は、とても脆いってご存知ですか?
「ダイヤモンド 脆い」とかで検索をすれば直ぐに見つかると思うのですが、簡単に説明すると…
ダイヤモンドが硬い鉱石であるイメージを作っている”硬度”とは、単純な傷の付き難さを表しています。
逆に、衝撃に対する耐性は硬度とは別に”靭性”という数値に関係します。
靭性とはシンプルに割れ難さを示す値で、これが高いほど割れたり壊れたりし難い。
ダイヤモンドは硬度は高いが靭性は低いので、傷は付き難いけれど割れやすいという性質があります。
僕は、髪の毛もこれと似たようなものなのではないかと考えています。
硬くて太い髪の毛は、内部物質もしっかりと満ちており、キューティクルも厚く枚数が多く、隙間なく並んでいる分、柔軟性に乏しい。
故に、ブリーチ剤に依るダメージが進行すると、切れ毛になりやすい。
逆に細くて柔らかい髪の毛は、しなやかさがある分、同じダメージを受けていても柔軟性がある分切れ毛になり難い。
勿論これは、僕の中での空想毛髪科学なので実際の理由とは異なるかもしれません。
本当のところがキチンと解明される日を待ち望むばかりです。
髪質に依るブリーチ時の明るくなり方への影響
髪質に依ってどれくらい明るくなるか。
これに関しては、僕はほぼ無いと考えています。
確かに、ブリーチをしている中で明るくなりやすい・なり難いはあります。
しかしそれは、あくまで明るくなっていく速度が速いか遅いかの違いだけで、明るくなり難い、明るくなるまでの速度が遅い髪質の方でも、しっかりとした塗布量と時間を置くことで、最終的には明るくなりきってくれます。
これは恐らく、キューティクルの厚さや枚数によって、薬剤が浸透しやすいか否かで決定してくると考えます。
しかし、最終的にキチンと明るくなってくれるのですから、僕はこれはあまり意識し過ぎなくて良い要素であると思っています。
こちらの記事のお客様は、写真では分かり辛いですが、髪質的には硬くてしっかりとされていて、一見明るくなり難そうな髪質の方です。
しかし、こちらの記事の最後にあるように、キチンとホワイト領域まで明るくなってくれています。
髪質以上に重要な”髪の毛の履歴”
というように、髪質によってダメージの仕方に対する影響と、明るくなる速度に対する影響はあれど、髪質によって明るく出来ないということは無いと僕は考えております。
では何故、巷では
「髪質によっては〜。」
とか、以前お客様から聞いた話では
「君の髪質では白くするのは無理だと言われた…。」
というようなことがあるのか。
…あまり言いたく無いことですが、”その方の知識や技術不足”ということも1つの理由としてはあり得ます。
しかし、それとは別の部分で僕が考えるのは、本来別物であるものを混同されている方が、美容師お客様問わず多いからなのではないかということです。
髪質と髪の毛の履歴は全くの別物
この2つを混同されている方が非常に多いと感じるのですが、髪質と履歴は全くの別物です。
髪質は、”一切何も手を加えていない状態の髪の毛の本質的な形質”がどうであるか。
対して履歴とは、”これまで髪の毛に対してどのようなことをしてきたか”です。
ですから、当然全くの別物であり、混同してしまうと誤解が生まれてしまいます。
髪の毛の履歴を構成する要素
ではその履歴というものを構成する要素。
つまり、髪の毛に対してどのようなことをすることで、ブリーチをする際の影響が生まれるのか。
こちらの記事や
こちらの記事でまとめております。
それぞれの履歴とそれがどのように影響するかの実例とその理由について詳しく書いておりますので、是非併せてお読み頂きたいのですが、簡潔に説明すると…。
・カラー履歴の有無
・パーマ履歴の有無
・縮毛矯正履歴の有無
・酸熱トリートメントの有無
・アイロンの使用の有無
・ドライヤーの使用の有無
・普段お使いのシャンプーやトリートメント剤の種類や頻度
・カットの際の毛量調整の仕方
これらの履歴の有無が、ブリーチをする際に大きく影響してきます。
髪の毛が明るくなりにくくなってしまう履歴
前述した履歴の中で、明るくなりにくく・必要明度まで明るくならなくなってしまう履歴はというと…、
・カラー履歴の有無
・パーマ履歴の有無
・縮毛矯正履歴の有無
・酸熱トリートメントの有無
・アイロンの使用の有無
・ドライヤーの使用の有無
・普段お使いのシャンプーやトリートメント剤の種類や頻度
・カットの際の毛量調整の仕方
これら全てです。
その理由
勿論、その影響の大小は、履歴の有無だけではなくその種類や頻度などにもよりますが…。
・カラー履歴の有無
→カラー剤の種類にも依りますが、物によっては黒染めや白髪染めなどではなくとも染料が残留してしまい、オレンジや黄色以上に明るくならないことがあります。
・パーマ履歴の有無
→カールやウェーブ、ストレートを問わず。パーマをかけているとパーマの中で行われる還元と酸化のダメージの影響で、必要明度に達する前にダメージ的限界点を迎えてしまう場合があります。
・縮毛矯正履歴の有無
→パーマと同じく、還元と酸化のダメージに加え、髪の毛のタンパク質が耐えられない温度の熱によりタンパク質の構造が変化し、必要明度まで明るく出来ないことが多々あります。
・酸熱トリートメントの有無
→強い酸はアルカリ以上に危険で、酸熱トリートメントに使用される酸によって髪の毛のダメージが進行。更にその酸を定着させるためのアイロンの熱によって、縮毛矯正と同じ理由で明るく出来ないことが多々あります。
・アイロンの使用の有無
→上述した縮毛矯正の有無や酸熱トリートメントの有無同様、温度や頻度、やり方によって明るくならなくなってしまうことがあります。これは、「普段はしないけど美容室に行った時に仕上げでアイロンを入れてもらった」だけでも起こり得ます。
・ドライヤーの使用の有無
→普段ドライヤーをお使いでない場合、キューティクルの損傷が起こることでダメージが進行し、必要明度に達する前に髪の毛が耐えられなくなってしまうことが多々あります。逆に、熱の与えすぎで、アイロンの熱同様明るくならなくなることもあります。
・普段お使いのシャンプーやトリートメント剤の種類や頻度
→これは本当に極稀なケースではあるのですが、ご使用されているシャンプーやトリートメント類に含まれる油分が過剰に吸着してしまっていると、ブリーチ剤に含まれるアルカリが、過酸化水素の分解の前に油分の分解に使われてしまうことで、僅かに明るくなりにくくなってしまうことが無きにしも非ずです。
・カットの際の毛量調整の仕方
→これは僕達美容師の注意でどうにでもなるのですが、毛量を減らし過ぎてしまっていると”根元側は薬剤を溜めやすいが、毛先は毛量が少ないために薬剤を溜めにくい状態”になってしまいます。特にブリーチ剤は塗布量によって明るくなる上限に影響がでます。そのため、毛量を減らし過ぎてしまっている方の場合、僕達は普段以上に注意しなければなりません。
詳しくはこちらの記事に纏めております。
ブリーチをした時にダメージしやすくなってしまう履歴
次に、ブリーチをした際にダメージをしやすくなってしまう履歴について。
・カラー履歴の有無
・パーマ履歴の有無
・縮毛矯正履歴の有無
・酸熱トリートメントの有無
・アイロンの使用の有無
・ドライヤーの使用の有無
・普段お使いのシャンプーやトリートメント剤の種類や頻度
・カットの際の毛量調整の仕方
これも矢張り、全てが大なり小なり影響してきてしまいます。
その理由や具体例
・カラー履歴の有無
→例えば分かりやすい履歴で言えば、「ブリーチと黒染めを繰り返していた」とか。明るくする作用の強いカラー剤で、根元から毛先までを繰り返し染めていたとか。
こういった履歴がある髪の毛に、ブリーチをする際にパワーコントロールを間違えると、一気に髪の毛が損傷してしまうことがあります。
・パーマ履歴の有無
→前述した明るくなりにくくなる理由と重複しますが、還元と酸化作用によるダメージの蓄積で、ブリーチのパワーコントロールを間違えると一気に髪の毛が損傷してしまう場合があります。
・縮毛矯正履歴の有無
→前述した明るくなりにくくなる理由と、パーマの履歴の有無に重複しますが、還元と酸化作用によるダメージの蓄積に加え、アイロンの熱の影響で毛髪が硬化してしまうことが多く、ブリーチのパワーコントロールを間違えると一気に髪の毛が損傷してしまう場合が多々あります。
・酸熱トリートメントの有無
→前述した明るくなりにくくなる理由と重複しますが、強過ぎる酸によるダメージと、アイロンの熱の影響で毛髪が硬化してしまうことが多く、ブリーチのパワーコントロールを間違えると一気に髪の毛が損傷してしまう場合があります。
・アイロンの使用の有無
→縮毛矯正の履歴や酸熱トリートメントの履歴に重複しますが、毛髪を構成するタンパク質は130度以上で変性してしまい、硬くなってしまいます。それによって、硬い髪質の方がダメージしやすいことと同様に、ブリーチをした際に一気にダメージが進んでしまうことが多々あります。
・ドライヤーの使用の有無
→明るくなりにくくなってしまう理由で述べたように、しっかりと乾かさないとキューティクルが損傷、熱を与え過ぎるとアイロンの使用の有無同様、熱によるタンパク質の変性でダメージが進みやすくなってしまいます。
・普段お使いのシャンプーやトリートメント剤の種類や頻度
→ブリーチをした時に…、というよりもそもそもとして。過度な油分はダメージの原因になります。
・カットの際の毛量調整の仕方
→毛量を減らすということは、髪の毛の中に短い毛を作るということ。それによってその短い毛が、長い毛に対し摩擦を起こしてしまうことで、ブリーチをした時にと言うよりも、日々の生活の中で切れ毛を引き起こしやすくなってしまいます。
ブリーチで明るくなりにくい・ダメージしやすい原因まとめ
ここまでお読み頂けばもうお分かりだと思いますが、
ブリーチをする上で最も影響を及ぼすのは、髪質ではなく履歴
です。
髪質によってダメージを受けやすいとか明るくなる速度が遅いという事も、多少はあります。
然し乍ら、現代日本に於いて髪の毛に対して何もされていないという方や、逆に完璧な扱いをされている方は極少数だと思います。
例えカラー履歴や縮毛矯正履歴がなかったとしても、毎日130度以上の高過ぎる温度のアイロンをプレスするように通していれば、どうしたって明るくなりにくくダメージしやすくなってしまいます。
黒染めは勿論、残留性の高い染料を含むカラーをされていれば、明るくなりにくくなることもあります。
しかしそれは、髪質が原因ではなく、アイロンの仕方やカラーの履歴が原因でしかありません。
髪質が原因なのであれば、それを改善する事は難しく、諦めざるを得ない場合もあるかもしれません。
しかしその原因が履歴なのであれば、その原因となることをやめて、何の影響も受けていない髪の毛に生え変わるまで待てば出来るわけです。
履歴によって出来る事・出来ない事
これに関しては正直、断言はできません。
「これをしたからこうなりやすい」という事はありますが、現代日本に於いては前述してきた様々な履歴が複雑に絡み合っていることが多いです。
そのため、原因が1つではないわけですから考え得る結果も1つに断言することはできないわけです。
加えて、正直に言うなら実際に見て、ブリーチしてみないことには断言できません。
僕が普段させて頂いている事前カウンセリング、ご来店頂いて実際の髪の毛を見ながらのカウンセリングでも、「こうなる可能性がある」という予想を立てるのが精一杯です。
ブリーチしてみたら予想よりも綺麗に明るくなることもあれば、逆に予想通りになることもあります。
逆に、予想以上に大変なことになる、というのは僕の場合はほぼありません。
というのも、ご来店下さったことのある方ならご存知だと思いますが、僕は常に「その履歴から予想し得る最悪のケース」を想定し、お伝えした上で施術に入らせて頂いております。
なので、基本的には予想よりも上手くいくか予想通りで、相当未知の履歴か、お客様自身が履歴を覚えていらっしゃらず判別できない上に視診触診でも判別し得ない履歴でない限りは、予想以上に大変なことになるという事は極々稀なケースです。
勿論、そうならないように最善を尽くすわけですが。
生え変わるまでにかかる期間は…?
そういった履歴による出来る出来ないはあれど、生まれ持った形質で出来ない、という事はほぼありません。
少し棘のある言い方になってしまいますが、あくまでも”今までにしてきたことが影響してしまっているだけ”です。
ではその今までの履歴が無くなるまではどれくらいの期間が必要なのか。
具体的な長さと年数のまとめがこちらになります。
髪の毛は死滅細胞の集まりで、一度受けた影響が回復する事はありません。
質感が良くなる事、質感をよくする事は出来ますが、根本的な回復、つまり履歴がなかったことになるためには、生え変わるのを待つ他ありません。
それにはどうしたって年単位の時間がかかってしまいます。
しかし、髪質のように改善することが難しいことと違い、その原因となることをやめて、髪の毛が伸びて生え変わるのを待てば出来るわけです。
”履歴があると何も出来ない”というわけではない
ここまでお読み下さった方の中には、
「え、じゃあ何もしていないヴァージンヘアじゃないと何も出来ないの??」
と思われてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、決してそういうわけではありません。
冒頭でも述べた通り、
ここまででお伝えさせて頂いた事は、主に”ホワイトブリーチをする上で、ホワイト領域まで明るくする上で乃至は、ホワイト領域のベースが必要になるシルバーやパステル系カラーをする上で”の話です。
所謂ホワイトブリーチではなく、普通に明るくする上でや普通に鮮やかなお色にする上では、少なからず影響はあれども後述する原因に依って全く何も出来なくなるわけではありません。
勿論、とんでもないような履歴だと、本当に今すぐには何もしない方が良いということもあるかもしれません。
ですが、”様々な履歴によって出来ないことがあるかもしれないという可能性”についてご了承頂きご来店下さった方には、可能な限りご希望に添えるように尽力しております。
なので、先ずは是非一度ご相談頂けたらなと思います。
【華やかで品のある髪色が派手髪】
【当たり前から一歩踏み出した面白いスタイルを】
をモットーに、東京は学芸大学駅から徒歩4分の Al Chem という美容室にてカラー技術ではなく僕の作るデザインをご提供しております。
初めて僕のブログをご覧下さった方は必ずこちらのページを御一読下さい。
・Hanaのブリーチ技術について
・ホワイトヘアにするための条件
・何故1回のブリーチで白く出来るのか
・そもそもホワイトブリーチやケアブリーチって?
・どれくらいダメージするの?
・ブリーチってやっぱり染みて痛いものなの?
といった、僕のブリーチに関する基本的な内容や、よくある質問はこちらの記事に纏めておりますので、こちらも是非ご覧ください。
これらの記事をお読み頂いた上、日々のブログ・スタイルページ・インスタグラムなどをご覧頂き、【僕の理念や作るスタイルに共感頂けた方】は是非、記事の一番下のLINEオフィシャルアカウントから、友達追加の上ご連絡ください。
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