ブリーチをしてハイトーンに。
それを継続していく上でどうしても必要になる”ブリーチリタッチ”。
美容技術は多種多様な考え方や向き合い方があり、宛ら流派のように枝分かれしています。
僕も、僕なりのブリーチやヘアカラーに対するある種の哲学の様なものがあり、特に大切な要素として「綺麗な髪色は綺麗な髪の状態から」という軸があります。
故に、ブリーチリタッチをする上でも、上記の記事のように「切れ毛を最小限にして、可能な限り継続しやすく且つ綺麗なハイトーンヘアで少しでも毎日を楽しく出来たら」と考え、ご来店周期にご協力を頂いておりました。
同時に、常により良い方法をと考え続けて来まして。
ここ最近、やっとその1つの模範解答が形になったので、ご紹介していきます。
これまでのブリーチ
”切れ毛を最小限に抑える”という気持ちがありつつも、どうせブリーチするなら根本からしっかり明るくしてあげたいという気持ちもあり…。
こちらの方のように、根本からしっかり明るくしておりました。
このように根本からしっかり明るくしていた場合、別の方ですが地毛の黒髪が伸びるとこのように…、
”地毛→白”となっておりました。
この状態から、切れ毛を最小限に抑える為に頑張って…、
この様にアルミフォイルを挟んで、頭蓋骨の形状による毛束毎の境界線のズレで余計な箇所にブリーチ剤が付いてしまわないよう、細心の注意を払ってリタッチをしておりました。
根本からしっかり明るくなっていること×切れ毛を最小限に抑える
これをコンセプトとして、技術的課題をどうクリアするのか。
様々なやり方を試した結果、このコンセプトを解決するには、愚直ながらもこの塗布方法で僕が頑張るというのが唯一の解答であると考えておりました。
と、言いつつも。
現実は非情なものでして。
正直な話、僕がどれだけ頑張って、細心の注意を払って、全神経を集中して塗布したとしても、切れる時は切れるのですよ…。
切れ毛が起きてしまった時に先ず考えるは当然、自分の塗布技術の未熟さです。
塗布時の目線、視線、毛束を持つ手の角度や持ち方、刷毛の当て方止め方、塗布以前のブロッキングの仕方…。
薬剤選定もそうですし、もう少し踏み込むならご自宅での扱い方についての指導等…。
諸々、全て見直して。
色々な手段を試して。
…それでも。
切れる時は切れてしまう。
その原因は、プロとしてあってはならない事とは言えども、どれだけ完璧を目指そうと機械ではなく人間である以上、誰しもが起こし得るケアレスミスの類かもしれません。
もしかするとお客様ご自身の根本的な髪質やご自宅での扱い方といった、僕にはどうしようもない部分なのかもしれません。
僕が感じているケアレスミス、今回で言えば切れ毛というのは、お客様や他人から見ても気になる程のことではないのかもしれません。
とは言え、矢張り1人の技術者としては、この切れ毛を無くせるものなら無くしたい。
そう悩み続ける毎日でした。
コンセプト自体が間違いだった?
となると、愈々。
考え直さなければならないのは、塗布技術や何だといった小手先の話ではなく、根本的なコンセプトではないかと。
「抑、僕の好きなもの、お客様にご提供したいのは綺麗な色なのか?」
と考え直した時に、そうでは無いと。
冒頭でお伝えしたように、真に僕がご提供したいのは綺麗な髪色であると。
根本的な話、髪の毛がどんなにボロボロでも形や色が綺麗なら良いのか…?
否。髪の毛自体が綺麗な状態であって初めて、髪型や髪色が綺麗である。
これは何も僕個人の好みの感想ではなく、大多数の人間はそのような認識します。
色や形の齎す印象というのも勿論ありますが、それを良しとするか否かはあくまでも好みの問題です。
しかし、髪の毛のコンディションというのは、ファッションの問題以前に健康状態であったり性格や精神面の印象を作ります。
それに加えて、コンディションが悪ければ形は崩れてしまいますし、色も汚く見えてしまいます。
故に、ダメージでボロボロになってしまうことも少なくないハイトーンカラーというのは、社会的にあまりウケが良くなかったと。
色がどうこうというよりも、コンディションが悪くなりやすいのが問題であったと。
閑話休題
綺麗な髪色を作るために
そんな訳で、一度コンセプトを根底から見直す必要性に迫られました。
綺麗な色ではなく綺麗な髪色を作る。
つまり、綺麗な髪の毛に綺麗な色を作る。
そしてそれが、可能な限り次回ご来店時まで持続する…。
その最適解を模索した結果、今のブリーチの方針が出来上がりました。
切れ毛をほぼゼロにするHana式ブリーチ最新版
殆どヴァージンヘアの状態から、いつものブリーチでホワイト領域近くまで明るくした後、嫌な黄色みだけを抑えたホワイトブロンドです。
パッと見た全体の印象としては、概ね白っぽいブロンドまで明るくなっております。
ですが、大きく変えたのはこの根本の部分。
根本1cm弱程度を、少し甘めにブリーチさせて頂いております。
これをすることによって、全体のお色の印象を損なわず、リタッチ時の切れ毛を殆ど無くすことが出来るようになります。
リタッチする時は…
この根本を甘めにブリーチした状態から、1ヶ月2ヶ月と経った時にどうなるのか。
別のお客様の事例になりますが、
こうなります。
これで何故切れ毛を激減させられるのか。
赤線で囲った黒髪は、しっかり明るくしたいのである程度パワーのあるブリーチ剤を塗らなければなりません。
青線で囲った部分はホワイト領域まで達しているので、どれだけダメージレスなブリーチを心掛けていたとしても、絶対にブリーチ剤を付けたくない部分になります。
これまでのブリーチの仕方では、このガッツリ明るくしたい部分と絶対ブリーチ付けたくない部分が隣接していました。
ですから、ほんの数ミリはみ出してしまうと、即切れ毛が発生してしまいます。
かといってビビって境界線ギリギリを攻め切れないと、伸びの早い部分が黒胡麻のように点々と残ってしまいかなり目立ちます。
ですが、根本を少し甘めにブリーチすると、伸びた時に紫線で囲った部分のようにワンクッション挟むことが出来ます。
リタッチをする時に、この紫線のクッション部分も塗布していくのですが、この部分って中々とっても優秀で、
・もう少しブリーチしても大丈夫な余力がある
→リタッチ時に一番難しい黒髪との境界線に安心してしっかり薬剤を塗布出来る。
・多少パワーを抑えたブリーチでも直ぐに明るくなって繋がる
→新しく伸びた根本もまた甘めにブリーチしても、毛先の方としっかり繋がる。
・白い領域との境界線ギリギリまで攻め切らなくても目立たない
→黒胡麻のようにならないので、普通に自分や他人が髪の毛を見るような状況で、人の目で判別できるようなムラにはならず、オンカラーにも支障を来さない。
という、今まで”黒→白”だった事によって生じていたハードルを全て解決してくれます。
これに加えて、これまでと同じようにフォイルやペーパーを挟んでリタッチをすることで、これまで以上に切れ毛を減らせるようになりました。
ハイトーンを継続するか否かで決める
そんな僕の新しいブリーチ方法ですが、これが絶対的に正しい方法という訳ではありません。
あくまでも、僕のコンセプトである綺麗な髪色を作る上で、より即したやり方というだけであり、根本からしっかり明るくすることが間違っているなんてことはありません。
何なら僕も、今までのように根本からしっかり明るくするブリーチをする事だってあります。
そのお客様が何を求めているのか、その美容師が何を提供したいのか。
それによって、取るべき手段は変わります。
僕の場合、これまでの根本からしっかり明るくする場合と、敢えて根本を甘めにする場合は、ブリーチリタッチをしてハイトーンを継続していくか否かによってどちらをするべきかお伝えしております。
根本を甘めにしておいた方がいい場合
①今後もハイトーンを継続していく
②ホワイト領域まで明るくする必要があるお色にしたい、明るくしたい
③ベリーショート以上の長さを維持したい方
根本から明るくしてもいい場合
①ブリーチリタッチはしない
②ホワイト領域まで明るくする必要が無い
③ベリーショート以上の長さにしない方
①リタッチをするか否かで判断
先ず1つは、ハイトーンを継続するか否か、つまりリタッチをするか否かです。
ブリーチで起こる切れ毛というのは、相当無茶なブリーチをするとか、元々の髪質が非常に繊細な方でない限り、全体ブリーチでは先ず起きません。
基本的に切れ毛が発生するのはリタッチです。
そのリタッチをする、今後も暫くはハイトーンを継続したい、出来る環境にあるという方は、色が綺麗であるのと同じかそれ以上に切れ毛が少ないことも大切なので、根本は甘めにさせて頂きます。
逆に、今回ブリーチしたらそのまま地毛を伸ばしオンカラーだけ楽しむ、地毛を伸ばしながら自然なグラデーションに移行していくというような方。
もしくは、学生さんで1年後2年後には就活で髪を暗くする必要があるとか、普段は髪色の規定が厳しい方でイベントに合わせてブリーチして直ぐに暗く戻すといった場合。
こういった方々の場合、抑の前提がリタッチをしない、する必要がないので、思い切って根本から明るくしても支障はありません。
②必要な明るさで判断
今後ブリーチリタッチをしてハイトーンを継続していくという方でも、ご希望のお色にするために必要な明度によって、どちらのブリーチをするべきか決まります。
例えば、ホワイト・ホワイトブロンドやパステル系などの淡いお色、色落ちした時の黄色みを極力無くしたい方。
これらに該当する方は、どうしたってホワイト領域の明るさが必要になります。
そういった方の場合、根本は少し黄色みが残ってしまいますが、リタッチ時の切れ毛を極力減らすために甘めのブリーチでクッションを作る必要があります。
逆に、真っ赤、真っ青といった鮮やかだけど特別明るい訳ではないヴィヴィッドやストロングトーン以下の明度のお色であったり、色落ちした時にベージュっぽくなるのも嫌いではないという方。
こういったお色をご希望の方の場合、抑必要になる明度がまだまだ余力が十分にあるイエロー領域以下で作れるので、ホワイト領域までブリーチする必要がありません。
なので、今回のように特別根本を甘めにせずとも、切れ毛など無くリタッチで繋げられます。
③普段の髪型の長さで判断
切れ毛になることが何故良くないことなのか?
それは前述したように、ファッション以前の健康面や精神面での異常があるように思われたり、髪型や髪色が綺麗に見えなくなってしまう…、端的に言うなら、見栄えが悪くなるからです。
リタッチ時の切れ毛というのは、伸びてきた黒髪と既にブリーチされている部分との境界線で発生します。
つまり、根本から数センチのところで切れてしまう。
ロングの方であれば中途半端なアホ毛は非常に目立ってしまいますし、肩より上の長さの方でもボブやマッシュなどの重めのスタイルだと目立ちます。
なので、ある程度の長さや重めな形を維持したい方は、形を綺麗に維持する為にも根本は甘めにしておく必要があります。
ですが、特にメンズに多い、元々の長さが数センチ程度のベリーショートの方の場合。
正直言って、多少の切れ毛なんて先ず目立ちません。
…だって元々数センチしかないもの。
なので、ベリーショートよりも長くしないという方であれば、根本から明るくしてしまっても問題ないと言えます。
最後に
僕の好きな漫画家さんの作中で、「努力と技術力で無理を通すのは我々の誇りだが、本当に無理なものは無理なので無理だ。」というセリフがあります。
美容とは全然関係のない、軍事産業従事者のキャラクターのセリフなのですけれど、僕ら美容師の多くも同じ考えだと思います。
技術でお客様のご希望を叶える系美容師であれば、そのご希望に全力で応え「想像通りで完璧!」と言ってもらいたい…。
デザインでお客様に求めて頂く系美容師であれば、自分の考える以上の最高のデザインをご提供し、「任せて良かった!」と思って貰いたい…。
どのようなスタンスの美容師であっても、一見無理だと思える事にもあの手この手で挑戦し成功させたいと考えるでしょう。
ですが、「本当に無理なものは無理だから無理」というのもこの世の道理。
ならばその”無理”を前提に、コンセプトからプロセスを設計し直し、自分の仕事をデザインし結果にしていく必要があると考えます。
今回ご紹介した方法は、特に真っ白にしたい方からしたら絶対嫌なブリーチの仕方かもしれません。
しかし、切れ毛は限りなくゼロに近づけた方が、根本から真っ白である事以上に良い印象を与えられると思います。
逆に、これまでのブリーチがとんでもないほど切れてしまうようなものであったかというとそういう訳ではありません。
とはいえ、新しいブリーチ方法に比べると矢張りそのリスクはあります。
なので、リタッチをしない前提、もしくは多少の切れ毛なんて全然気にしないという方であれば、根本からしっかり明るくするこれまでのブリーチをさせて頂きます。
どちらの方が良いかはその人その人によって変わるので、気になる方は是非ご相談下さい。
ご予約、お待ちしております。
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をモットーに、東京は学芸大学駅から徒歩4分の Al Chem という美容室にてカラー技術ではなく僕の作るデザインをご提供しております。
初めて僕のブログをご覧下さった方は必ずこちらのページを御一読下さい。
・Hanaのブリーチ技術について
・ホワイトヘアにするための条件
・何故1回のブリーチで白く出来るのか
・そもそもホワイトブリーチやケアブリーチって?
・どれくらいダメージするの?
・ブリーチってやっぱり染みて痛いものなの?
といった、僕のブリーチに関する基本的な内容や、よくある質問はこちらの記事に纏めておりますので、こちらも是非ご覧ください。
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