【オタ美語り】カラリストHanaを作った作品【SHIROBAKO】

オタ美語り

 

オタ美語りとは、漫画やアニメと言ったいわゆるオタクコンテンツから多大な影響を受けた我々が、

何かに悩んでいたり、これから頑張っていきたいと思っている理美容師の方や理美容学生さんに向けて、

“仕事をする上で”、もしくは”美容師理容師として生きていく上で”

何かヒントになったり活力をくれる作品を紹介していく、オタク美容師のオススメ語り、略してオタ美語りです。

 

 

 

【華やかで品のある髪色が派手髪】

【当たり前から一歩踏み出した面白いスタイルを】

をモットーに、東京は学芸大学駅から徒歩4分の Al Chem という美容室にてカラー技術ではなく僕の作るデザインをご提供しております。

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というわけで、今までラジオでやっていたオタ美語りをブログにしてみようかと。

ってのも、色々理由はあるのですが何よりも…。

 

 

 

 

 

 

収録するタイミングを尽く逃してしまうから…。

 

 

 

そうです、我々の怠慢です。

 

とは言え、オタ美語り自体はずっとやりたかったことなので、1人でもひっそりと続けていきたいなと。

 

それに加えて、音声ではなく文章でも残して置くことで、自分自身への備忘録にしたいなと。

そういう軽いノリで書いていきます。

 

オタ美語り記事に関しては基本的に、”だらだら駄弁るように書く”を裏テーマにしているので、話が色んな方向に飛ぶとは思います。

読みやすい文章量や文章構成に中指突き立てる感じです。

なので、暇つぶしに読む感覚でいてもらえたら幸いです。

 

 

 

長ったらしい前置きはここら辺にして本題。

 

 

 

 

 

Hanaがカラリストを目指すキッカケになった作品【SHIROBAKO】

 

まず、僕がどういった経歴でカラリストになったかご存知でない方もいると思います。

そういう方はこちらのプロフィールページをご覧ください。

サラッと書いています。

 

プロフィール
Hana 神奈川生まれニコニコ育ち幻想郷在住 1月12日生まれ山羊座 合言葉は「今期何見てますか?」。 【経歴】 関東美容専門学校を卒業後、「京都に住んでみたい。」という理由から京都...

 

で、こちらのページに

 

一般的なスタイリストに向けたカリキュラムを受け、スタイリストデビュー目前まで進むも、どのような美容師になりたいかを改めて考えたときに、

「カットよりもカラーをしたい、カラーの方が好きだ!」

 

って書いているのですが、この”考えるキッカケ”になったのが、何を隠そうSHIROBAKOというアニメーション作品でございます。

 

 

 

 

 

SHIROBAKOってどんな作品?

 

一言で言えば、

アニメを作るアニメ

 

です。

 

 

 

…っていう雑な紹介はさておき。

 

アニメSHIROBAKOは、P.A.WORKSさん制作、水島努監督による働く女の子シリーズ第二弾。

 

TVアニメ「SHIROBAKO」公式サイト
記事の説明

 

主人公の宮森あおいをはじめ、上山高校のアニメーション同好会で共にオリジナルアニメを作った5人らと、アニメ制作現場で登場する様々なスタッフ達が織りなす群像劇です。

 

TVアニメ版は2014年10月から2クール24話。

劇版は2020年2月29日より上映が始まっています。

 

TV版の1クール目では宮森は制作進行というポジション。

2クール目からはデスクになり、劇版ではプロデューサーに。

 

とある劇版の記事で水島監督が、

「SHIROBAKOはアニメ業界の島耕作みたいに出来たらと考えている。」

と仰っていたり、もっと前のTV版が放送していた頃のコメントで、

「本当は宮森あおい制作進行編、デスク編、プロデューサー編、監督編、ってやりたかったんだよね。」

みたいなことを仰っていたので、もしかするとこれからも続いてくれるのかなと1人期待しています。

 

 

 

 

 

何故それをしたいのか、それをしてどうしたいのか、どうなりたいのか

 

僕がこの作品から一番影響を受けたのはこの部分。

 

SHIROBAKOはアニメを作る現場を描いたアニメです。

 

”アニメを作る”と言うと、多くの方が「絵を描く」とか、「音楽を作る・付ける」とか、「声を当てる」というような仕事を思い浮かべると思います。

もう少しだけ掘り下げると、一口に絵を描くといっても、「キャラクターの線を描く人」、「その絵に色を付ける人」、「動かす人」、「背景を描く人」、「3DSGを作る人」etc…、といったように本当に様々なポジションがあります。

それは音楽だったり声も同じで。

 

しかし、宮森あおいが担当している制作進行というのは、アニメーションというものを作ることに直接的には関係しません。

例えば監督から上がった絵コンテ(アニメの設計図のようなもの)を配ったり、誰がどのシーンを担当するかを管理し、スケジュール通り上がるようにしたりなど。

絵を描く、音楽を付ける、声を当てるなどといった、所謂”アニメを作る”ということには直接的には関与しない、どちらかと言うと裏方の仕事になります。

 

だからこそ、彼女は悩みます。

 

 

 

「何故自分は、アニメが作りたいのか。」

 

そして、

 

 

 

「アニメを作ることで、どうしたいのか。どうなりたいのか。」

 

 

 

 

彼女の周りには本当に多くのスタッフがいます。

なんなら高校の同級生達も、アニメーターだったり、声優、3DCGクリエーター、脚本家志望など。

直接アニメを作ることに関わっている人たちに囲まれているわけです。

 

 

 

1クール目のある回、そんな同級生達との飲み会にて、

「私は〇〇アニメーションの〇〇さんみたいな絵を描きたい」

とか、

「多くの人があっと驚くような物語が書きたい。」

といったように、具体的な夢を語るシーンがあります。

 

しかし、主人公の宮森は咄嗟にそういった夢が出てきません。

でも、アニメは好き。

では何故自分はアニメを作りたいのだろうか。

アニメを作ってどうしたいのか、どうなりたいのか…。

 

そういった悩み葛藤を抱えながら、少しずつ物語は進行していきます。

 

 

 

 

 

宮森あおいの悩みこそが僕の原点

 

ここでそろそろ、タイトルでもある「SHIROBAKOがカラリストHanaの原点になっている」という話をば。

 

 

 

SHIROBAKOが放送していた2014年10月〜2015年3月というのは、ちょうど僕が美容師一年目の頃。

京都のお店を辞めて横浜のお店に移った頃です。

この頃というのは正に1クール目から2クール目序盤の宮森のように、毎日の仕事や仕事で関わる先輩達に追われる日々を過ごしていました。

そう、所謂アシスタントというやつですね。

 

 

 

アシスタント時代ってのは、本当に毎日が忙しないです。

朝お店の朝礼が始まる2〜3時間前にお店に来て朝練をして、毎日先輩スタイリストの方々のアシストをして。

営業後は終電ギリギリまで仕事をして…。

 

といったような感じで、1日も早くスタイリストになって売り上げを上げるため、毎日に必死に食らい付く日々。

 

 

 

そんな中で、SHIROBAKOの数々のシーンが僕の支えになったことは間違いありません。

あの頃の自分は宮森やその同級生達に自分を重ねていましたし、先輩やベテランのキャラクターたちの言葉に励まされたり。

彼女達の成長を見て、自分も頑張ろうと思っていました。

 

そして何より、そういう毎日に追われるような仕事をしているとつい忘れてしまう、

「何故美容師になりたいと思ったのか、スタイリストになりたいのか。美容師・スタイリストになって何がしたいのか。」

という、全ての美容師が考えなければいけないことを、常に考えるキッカケになりました。

 

 

 

 

 

目的意識の明確化

 

2クール中盤くらいから宮森が打ち当たった

「何故自分はアニメを作りたいのだろうか。アニメを作ってどうしたいのか、どうなりたいのか…。」

という悩み。

 

これが明確になればなるほど、その仕事を自分がする意味が生まれると僕は思います。

逆に、これが明確でないと仕事をする意味や理由があやふやになり、結果「美容師ってこんなもんでしょw」と諦めてしまったり、人によっては辞めてしまうのかもしれません。

 

しかし、それではダメです。

何故なら、僕たちが行っていること、というか仕事と呼ばれるほぼ全てのことは、オナニーではないから。

仕事をする、ということは自分が生きていくためでありながら、同時に他人のためにすることが大半ですよね。

 

他人のことを思うことが出来なければ、いい仕事は出来ません。

いい仕事が出来なければ、誰も自分に仕事を頼もうとは思ってもらえません。

仕事を頼んでもらえなければ、お金が貰えない。

お金が貰えなければ、生きていくことは難しい。

 

とまぁ、どこまで綺麗事を言っても、仕事をするのは、というか生きている中でする全てのことは自分のためにしているのかもしれません。

しかし、自分のためになるようにするには、結局誰かのためにならなければ、自分のためにはならない。

情けは人の為ならず、とはよく言ったものです。

 

 

 

そんな誰かのために何かをする。

と言っても人間というのはどこまで行っても非常に自己中心的なものですから。

誰かのために何かをするにも、理由がなければ出来ないことの方が多いでしょう。

 

だからこそ、考えなければいけないわけです。

 

 

「何故自分はアニメを作りたいのだろうか。アニメを作ってどうしたいのか、どうなりたいのか…。」

 

僕らであれば、

 

 

「何故美容師になりたいと思ったのか、スタイリストになりたいのか。美容師・スタイリストになって何がしたいのか。」

 

アシスタント期間SHIROBAKOに支えられながら、必死にスタイリストになるため毎日練習と仕事をし。

そして同時に、”何故どうしてどうなりたいのか”ということを常に考えることを教えてくれたのが、SHIROBAKOなのです。

 

 

 

 

んで、カットカリキュラムに入ったあたりのある時、僕が師匠と仰ぐ方の存在を知り、そこでカラリストになろうと思ったわけですが、お師匠さんとの出会いとか受けた影響とかはまた別のお話…。

 

 

 

 

 

仕事をする上で大切なことが沢山描かれているSHIROBAKOの名シーン紹介【ネタバレ注意】

 

そう言った、”仕事をする上で”だったり”生きていく上で”必要になるマインドを形成するための悩みや葛藤を教えてくれたり、支えてくれるシーンがSHIROBAKOには沢山あります。

 

全てを語ると何万文字にもなってしまうので、特に好きなシーンを一部抜粋してご紹介させて頂こうかと。

 

ちなみに、ここからは多少のネタバレを含みます

 

ある程度ぼかしてご紹介はしますが、各エピソードの中でも名シーン的な部分を抜粋するため、ネタバレが苦手な方是非、以下のリンクからご覧いただいた上でこの先の記事をお読みください。

 

 

 

 

SHIROBAKO(全24話)
武蔵野アニメーションの新人制作進行のあおいを中心として、アニメーション制作現場で起こるトラブルや、葛藤や挫折などといったアニメ業界の日常を描く群像劇。

 

Netflix

 

ちゃんとこういう公式が配信しているサイトで見てくださいね。

そうすれば、アニメ制作会社さんなどにちゃんとお金が行きますから。

海賊版サイトで見るようなヤツはアニメ好きを名乗る資格はありませんからね。

 

 

 

 

それでは…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第2話から学ぶ仕事に対する姿勢

 

第2話では、1話におきたトラブルの影響から、次の話の納品までがちょっとした修羅場になります。

そんな修羅場の中で、作中で作っている作品”えくそだすっ!”のキャラクターの作画がちょっと違うんじゃないか?という話に…。

違うと感じているのは、たった1シーンのほぼ一瞬の表情

 

納品まで時間がない。

けど、納得いくクオリティに届いていない…。

 

そこで、監督を初めその話に関わる人を集め、会議をします。

 

そのこだわりは必要なのか、視聴者に伝わるのか。

納品にキチンと間に合わせることの方が大切なのではないか?

下手したら観客置き去りになるのではないか。

 

白熱する会議の末に…、というか最早推し語りや萌え語りになった会議の末、監督が

 

「このキャラからこの台詞が出るってことはさ、万感の、ありとあらゆる感情と、時間と物語が籠っているわけよ!お綺麗な顔で言えるわけがないのよ!」

「泣く前に、鼻がひくひくしたり顔に出るシワとか、グッとこない!?」

「でもさ!記号的な表現って、綺麗でも飽きるよ!?挑戦!挑戦!新境地!!」

「アニメーションってテンプレートの代名詞か!?違うだろ!命を吹き込むってことだろう!!」

 

と熱く語ります。

 

 

 

そこから学んだこと

 

これって、美容の仕事でも一緒だと思うんですよ。

 

ヘアスタイルやヘアカラーを本気で作るってことは、そのお客様のライフスタイルや趣味趣向と言った、その人のバックボーンを考えるということ。

それは所謂クリエイティブ系の仕事に限らず、普段のサロンワークでも同じこと。

 

泣く前のブサイク顔にこだわるって、「耳にかけたときのこの毛流れに対してこうハイライトが入ってたら可愛くない?」とかに近いのかなって。

 

ヘアスタイルやヘアカラーだって、綺麗なだけの髪色ばかりじゃ飽きてしまいますよね。

正に、挑戦し挑戦し、そして新境地へ

最近で言えば、ビリーアイリッシュさんがされていたような根元だけ明るいカラーのスタイルだって、ちょっと前だったら否定された、というか今でも否定的な人もいるでしょう。

 

でも、アニメーションがそうであるように、綺麗な髪型髪色って、テンプレートだけじゃないはずですよね。

そのお客様の語り尽くせないほどのバックボーンを考えて、細部にまで拘って、挑戦し続ける。

 

そういう姿勢こそが、美容師をする上で大切なんだろうなと思うわけです。

 

 

 

 

 

第5話・第6話から学んだ誇りを持つことと執着の違い

 

第5話と第6話では、手書きアニメーターと3Dクリエーターの2人が、とある制作進行の伝達の仕方が悪かったために険悪なムードになります。

 

あるシーンを、アニメーターが描くのか3Dでいくのか。

 

3D担当のキャラは、制作の進行状況やそのシーンを担当するアニメーターの負担を考え、あくまでも

「こっちでも作れるし、これくらいのクオリティにはできるから、もし大変であれば遠慮なく言ってね。」

くらいのやんわりとした提案を。

 

しかし、これの伝達が悪かったために、(というかその制作進行のキャラがアホ過ぎるが故に…w)、アニメーターの方に悪い伝わり方をしてしまい、

「3DCGなんて外連味に欠けて情緒も何もない!」

と憤り、仕事を放棄する寸前まで行ってしまいます。

元よりそのアニメーターは3Dを少し下に見ている節があったのですが…。

 

 

 

その時に、そのアニメーターの尊敬する先輩アニメーターから、

「俺今、海外の3Dアニメに、ジャパニメーションのノウハウを教えているんだ。」

と、彼にとっては衝撃の告白を受けます。

 

その先輩アニメーターは続けて、

 

「どんどん出てくる新しい技術に対して、俺たちアニメーターが歩み寄ってコツを教えて、3Dの長所も短所も知って、アニメの質を上げていくんじゃないのか?」

「いじけて3Dを否定しても何も良くならないぞ?」

「上手くいかないことを人のせいにしているようなヤツは辞めちまえ!」

 

と諭すの半分お説教半分。

 

しかし、この言葉を受けて、またその後の色々もあり、2人は和解し今の3Dを認め、けれどそれに負けじとアニメーターがそのシーンを描くことに。

 

 

 

そこから学んだこと

 

この件も正に僕ら美容師にも言い換えられますよね。

 

どんどん出てくる新しいスタイル、技法、薬剤。

もっと言えば、考え方。

 

それに対して、既に技術や知識や経験のある人たちが歩み寄って。

色んな事を教えあったり、互いの長所や短所を知って。

もっと良いヘアスタイルを作ったり、ヘアカラーを作る事で日々のお客様に作る作品のクオリティを上げていく。

それがひいては美容業界を発展させていくことに繋がるわけで。

 

 

 

僕のお師匠さんも、イ○ミナカラーが出た時に、

「とんでもないカラー剤が出た!今まで我々カラリストがあの手この手で作っていた髪色がこれ一本で作れるだなんて!」

と、語っていました。

 

しかしそれは、否定ではなく純粋な驚きで。

自分自身もその新しい薬剤に対して歩み寄り、使いこなすことで長所も短所も知り、更に良い作品を作らんとしていました

 

逆に、そう言った新しいものに対して意固地になったり。

そうでなくたって、環境とか色んなもののせいにしてしまっていると、上手くいくわけがない。

「そんなヤツは辞めちまえ!」って言われても仕方ないです。

そうじゃなくて、常に自分を高めるために柔軟になり、他人や環境のせいにせず、作品の質を高めもっと多くのお客様に喜んで頂き、そして業界を発展させていく。

 

そういう姿勢が、僕たちクリエーターには必要なんですよね。

 

自分の培ってきたものや良いと思うものを守ることが必ずしも誇りにつながるわけではなく。

一歩間違えばそれは固執や執着と呼ばれるものになってしまいます。

そうではなくて、新しいモノやコトを受け入れ、常に日進月歩し続けたり切磋琢磨することで誇りに繋がるのかな、って。

 

 

 

第12話から学んだ他者への誠意や基礎と継承の大切さ

 

12話は1クール目のクライマックス。

作中で作っている作品も最終話を迎えます。

 

実際にはこのクライマックスに至るまでの話は9話あたりから続いています。

伏線も含めればもっと前かな?

 

それくらい、その進行は決して順調なものではなく。

監督の絵コンテも、ギリギリになってしまいます。

 

やっと上がった渾身の絵コンテ。

そこには馬を100頭も描くシーンが…。

 

 

 

実は馬とか動物って、非常に描くのが難しい。

特に、デフォルメされた動物ではなくあくまでリアルな動物となると尚更…。

しかもそれが、100頭ともなれば尚更。

動画のカロリーが高いのなんのって。

 

で、宮森はそのシーンを描いてくれるアニメーターさんを探して回るわけです。

しかし、デフォルメされた馬ではなくリアルな馬。それを100頭も…。

引き受けてくれる人は一向に見つかりません。

 

 

 

そんな時に、とある超大物アニメーターさん(モデルになっている方も超大物)を紹介してもらいます。

やっと描いてくれそうなアニメーターさんが見つかった宮森は喜び勇んでその方の元に向かいます。

 

しかし、そのアニメーターさんから

「この馬、全部戦闘機に変えて良い?で、全部薙ぎ払う。」

と、衝撃の提案が。

 

慌てる宮森に対して、怒るでも叱るでもなく、冷静に語りかける超大物アニメーター

 

「宮森さん、これをワシが描く意味ってなんだろう。どうしてワシに頼んできたの?」

「アニメーターも人間だから、この仕事はお前にしかできないって言われたいんだよね。」

 

自分の浅はかさに申し訳なさそうにする宮森に対し続けて、

 

「あれ?自分ムサニだよね?ムサニならいるじゃん、あの人。」

 

と紹介されたのは社長と同世代で年配のベテランアニメーターさん。

でも今はもう子ども向けアニメの原画しか描いていない彼には難しいのでは、と言う宮森に対し

 

「基本があるから描けるんだよ。知らない?あの人の伝説。」

「逆になんで彼に頼まないのか不思議だけどね、ワシは。」

 

その話を受け、社内のベテランアニメーターの元へ向かいお願いする宮森。

流石に1人で全てを描くのは難しいと感じた彼は、社内にいるアニメーターを集め作戦会議をします。

 

「コンテを拝見しました。先ず、このシーンは半日かかります。こっちは8時間…、全て上げるのには1週間かかります。」

 

と、ベテランならではの経験に基づく明確な予測を立ててくれます。

しかし1週間も時間はない。そこで続け様に、

 

「そんな時間はないよね。けど、ラフ原でよければ時間短縮ができる。」

「ただ、僕のラフは原画に慣れていない若い人には線が拾えないかもしれません。」

 

という言葉に対しムサニのツートップとも言うべき2人が、そのアニメーターさんの本気を見て学べるならと、率先して2原に立候補します。

 

いざみんなで制作が始まり、ある程度形になったところでプレビューをしていると、

 

「監督、まだ修正できますか?足の運びが気になるんです。すみません、僕のミスです。3時間だけ頂けますか?」

 

と。

 

 

 

 

なんだかんだで、なんとか完成、納品。

今までお互いジェネレーションギャップからか、少し避けていた若手とベテランアニメーター。

しかし、この件を経て”基礎の大切さ”を今一度認識した若手から、ベテランアニメーターにワークショップを開いて欲しいと言う話が出ます。

 

そして、

 

「ありがとう宮森さん。君が仕事を振ってくれなかったら、僕はムサニのお荷物で終わるところだった。」

「自分にもまだまだやれることがあるんだってわかって嬉しいんだ。」

 

と、そのベテランアニメーターから感謝の言葉が…。

 

 

 

そこから学んだこと

 

超大物アニメーターさんの発言から、僕は2つの意味で影響を受けました。

 

1つはお客様に対して。

 

「これはお前にしかできない仕事なんだと言われたい。」

これは今も常に、思っています。

しかし、それはただ思っていても仕方ありません。

そう思ってもらえるような仕事をして、数え切れないほどの感動を生んで、初めてそう言える権利が生まれると僕は思います。

 

まんま作中のセリフと同じですけれど、僕達美容師だって人間ですから。

「なんとなく来た。」って言われるよりも、

「インスタとかブログ見て、Hanaさんにしかできないカラーだと思って来ました!」って言われたいじゃないですか。

そのために、日々のカラーのクオリティが昨日よりも今日、今日よりも明日と日進月歩を積み重ねていくわけです。

それが、選んで頂くための誠意なのかな、と。

 

 

 

そして同時に思ったこと。

これは、僕がカラリスト故なのかもしれませんが。

共に仕事をするスタッフに対する誠意。

 

例えば、僕はカラーしかしないわけですから、カットは他のスタイリストにお願いするわけです。

しかし、「誰でも良いから切って!」と思ったことはカラリストになってから一度もありません。

お店にいるスタイリストがどういうスタイルが得意なのか、どういうキャラなのかなど、自分なりによく見て、「この子のカットならこの人にお願いしたい」と思っています。

 

勿論、予約状況とかによっては、本当はお願いしたいけど出来ない時もあります。

けれど、急なオーダーでなければ、基本的に「この人にのこの仕上がりが合うと思うから」と考えてお願いしています。

それが必ずしもマッチするわけでは無いというのも重々承知です。

しかし、自分ができないことを他人にお願いするということは、それ相応の誠意がなければ非常に失礼なことなんですよね。

 

これは何も、カットをお願いする時だけに係らず。

これからAl Chemに入社してくれるであろう後輩たちへもそうですし。

美容業務以外でもそうだと思います。

 

自分だって、お客様から”Hanaさんにしかできないカラーだと思われたい”わけですから。

他人にして欲しいことを先ず自分がしなくてどうするんだって話ですよ。

 

 

 

そしてベテランアニメーターさんのエピソード。

ここからも沢山のことを学びました。

 

先ずはなんと言っても、基礎の大切さ。

アニメーションで言えばデフォルメされた動物たち。

美容で言えばなんだろう…、「たった○枚のフォイルワークで作るワンランク上のブラウン♪」みたいな?

 

何にせよ、一見簡略化されている技術も、それが出来るのがなぜかと言ったら基礎を理解しているからですよね。

ハイライトの見え方の基礎がわかっていなければ、数枚のフォイルで作るハイライトも本当の意味では理解できません。

 

 

 

僕の普段の仕事で言えば、ブリーチのリタッチかな?

キチンと適正スライス幅をオンベースに引き出して、ディバイディングラインを把握して、施術面に視線を合わせて塗布し、次のパネルやブロックの邪魔にならないよう塗り収める、みたいな。

もっと言えば、髪の毛のリフトのしやすいしにくいに合わせたブロッキングとか薬剤選定とか。

そういう薬剤知識と塗布技術の基礎が理解できていないと、綺麗なリタッチってできないと思います。

 

正直に言えば、僕もミスする時はあります。

何度やっても、いつでも誰でも何度でも100%完璧と自信を持って言えるかと言われると、中々そうもいきません。

でも、すこーーーしだけブリーチが必要なカラーへの理解がある方だと思うので、多少のミスでも修正はできます。

基礎があれば、ミスしてもカバーができます。

 

そしてその基礎が積み重なることで、応用に繋がるわけで。

僕が作っているカラーって、一見凄く難解に見えるかもしれません。

けれど、実は結構シンプルだったり、考え方としては基礎に則って作っていることがほとんどです。

 

それくらい基礎の習得というのは非常に難しいもので、同時に絶対に必要なことなんですよね。

 

 

 

で、そういった経験があると、どの工程にどれくらいの時間が必要なのかがわかってくる。

つまり、どんどん無駄がなくなっていくんですよね。

 

自分の仕事をなんとなくにせず、冷静に見極め不備があれば誰のせいにするでもなく、自分の責任でちゃんとどれくらいの時間がかかるかを明示して修正をする。

 

そういう人は、若手から学びたいと思ってもらえるんですよね。

そしてそれは、言わばベテランの義務のようなもので。

 

 

 

自分の培ってきた知識や技術やノウハウを、若手に伝えていく。

若手はそこから素直に学び研鑽し、更に次の世代に継承していく。

そうやって、古くからある基礎をどんどんとブラッシュアップしていき、より良い作品を作っていき、業界を発展させていき、より多くの方を笑顔にしていく。

 

こういったシーンって、先ほど紹介した第6話でもそうですし、作中に多く出てきます。

それくらい、継承していくということは大切なこと。

 

 

 

しかしそこには、互いに対する敬意がなければ成り立たないわけで。

 

仮にこのベテランアニメーターさんが、

「お前たちこんな絵も描けないのか。仕方ないから手本を見せてやろう。」

みたいなスタンスだったら、良い関係性にはなれませんよね。

逆に、若手がベテランの方に対していつまでも「あの人の絵は古いから…。」なんて思っていたら、素直に学ぶことなんてできません。

 

ですから、このシーンというのは作中で多く語られる継承に纏わるエピソードの中でも象徴的なシーンなのかなと思っています。

 

 

 

互いが互いのことを認め合い、敬意を持って向き合うからこそ、良い関係性になることができ、ちゃんと継承していける

 

僕も、どちらの立場であってもそうであり続けたいなって思うんです。

教えてもらう立場であれば、斜に構えず素直な気持ちで。

教えさせて頂く側であれば、傲慢にならず謙虚な気持ちで。

そして技術や知識だけでなく、そういった心構えみたいなもの自体も継承していけるような人になりたい。

そう思います。

 

 

 

 

 

 

 

他にもまだまだ沢山の名シーンと学びがあるSHIROBAKO

 

と、ここまで3つのエピソードをご紹介してきましたが、ここまで全て1クール目の話です。

 

前半12話の中ですらもっともっと紹介したい話がありますし、後半には更に沢山の、そして劇版についても本当に沢山の…。

数え切れないほど、見て欲しい、感じ考えて欲しいシーンがたっっっっっくさんあります。

 

 

 

例えば…、

 

 

 

作監チェックの時に、新人アニメーターに送られた、

「それだけと、思ってらっしゃるんでしょ?」
「意外とそれだけで、違ってくるものなのですよ」

という言葉とか。

 

 

 

制作進行の先輩から宮森に送られた、

「でも結局、上手くて情熱のある人しか、残れないのかも?ま、どの世界も同じ!」
「私らの仕事だって、厳しいじゃない? 厳しさの種類が違うだけだよ!」

とか。

 

 

 

ベテランアニメーターさんから新人アニメーターの子に送られた、

「速く描くには上手くなる。上手く描くにはいっぱい描く。いっぱい描くには速く描く。」

「年とって技術を身に着けても、1日に描ける量はそうは変わらない。むしろスピードは落ちていく」

「それが出来れば食べていける。出来なければ辞めていく。アニメーターってのはそういう仕事でね。」

とか。

 

 

 

 

脚本家志望の子が主人公の姉の東京観光に付き合わされた時に言った、

「自分ひとりじゃ絶対経験できないことばっかなんで、めちゃくちゃタメになります。頭と心の財産っす!」

とか。

 

 

 

先輩アニメーターから新人アニメーターへ送られる、

「新人は、先輩が描いた動きのパターンをつかんでマネする。自分なりの表現ってのはそれから」
「学ぶって言うのは、マネぶって言うじゃん。みんな最初は誰かのマネ。おんなじおんなじ」

とか。

 

 

 

効果音を作っている会社の方が言った、

「こだわんなきゃ面白く無いのよ〜。」

「続けないと、仕事って面白くならないからさ。」

とか。

 

 

 

背景美術の方が言った、

「アニメで『夏』って言ったら、みな入道雲。積乱雲と蝉の声を入れるじゃないですか」
「あれは思考停止だと思いませんか?」

とか。

 

 

 

声優志望の子に先生が言った、

「あなたに足りないのは、自信と覚悟だね」
「失敗も貴重な財産でしょうが。若者が根拠の無い自信持たなくて、何を持つんだっつーの」

とか。

 

 

 

声優オーディションの会議で、音響監督が言った、

「経験の少なさが不安という意見も理解できます。その時は、私達が育てればいいんですよ。」

とか。

 

 

 

先輩アニメーターから後輩アニメーターに送られた

「辛い時期の無い職業なんてありません。ですから後は、屈辱をバネにどれだけ自分が頑張れるかです。」

とか。

 

 

 

「凄い人たちの集まりだったんですね!」的な宮森の発言に

「別に凄く無いよ。ただがむしゃらに、ひたすら前に進んでた。やりたいことをやり続けていた。そして気が付くと、この年になってた。それだけさ!」

と応えた社長。

そしてそれに対して

「私、楽しいです。あの頃になんか負けませんから!」
「私、あの頃を超えるアニメを、絶対に作ってみせますから!」

と宣言する宮森と社長のやりとりとか。

 

 

 

あるアニメーターさんが宮森に伝えた、

「クリエーターには、関わった話数1本1本が名刺代わりってこと」
「流して描く作品なんて無いってこと」

とか。

 

 

 

ベテランアニメーターの

「僕は才能って言うのは、何よりまずチャンスをつかむ握力と失敗から学べる冷静さだと思う。絵の上手い下手は、その次だ」
「僕は僕より上手い人間が、わずかな自意識過剰やつまらない遠慮のせいで、チャンスを取りこぼして来たのを何度も見た。惜しいと思うよ、今だにね」

とか。

 

 

 

 

 

SHIROBAKOはこういう人に見て欲しい!

 

本当に、数え切れないほどの名シーン、そして学びや気付きの多い作品なんです。

ですが、好き過ぎるが故に無限に書けてしまうので、ここらで一旦締めますが…。

 

 

 

SHIROBAKOはアニメーション業界を描いた作品でありながら、全ての”クリエーター”、もっと言えば”働く人”にとって必ず良い刺激をくれる作品だと思います。

 

僕自身、カラリストになろうと決心した作品であり、何度も何度も見返した今でも、また1から見直して気持ちを引き締めてくれたり、激励してくれるような自分のメンター的作品です。

 

今、仕事で悩んでいたり、これから頑張っていこうと思っている人達は絶対に見るべきと、胸を張って言える作品です。

 

そして同時に、群像劇ですから必ず1人は共感できるキャラクターがいます。

アシスタント、アシスタントリーダー、ジュニアスタイリスト、スタイリスト、店長、オーナーetc…。

色んな立場の人がいると思いますが、どんな人でも必ず”ハッと気付かされるエピソード”や激励となる言葉やエピソードがあります。

 

なので、全ての理美容師・理美容学生の方に是非一度ご覧になって頂きたい作品です。

 

 

 

 

 

 

SHIROBAKO(全24話)
武蔵野アニメーションの新人制作進行のあおいを中心として、アニメーション制作現場で起こるトラブルや、葛藤や挫折などといったアニメ業界の日常を描く群像劇。

 

Netflix

 

 

 

そして現在、全国劇場にて「劇場版SHIROBAKO」も絶賛放映中です。

 

劇場版『SHIROBAKO』
水島努×P.A.WORKSによる劇場版『SHIROBAKO』公式サイト。完全新作ストーリーにて2020年2月29日全国劇場公開!

 

コロナの影響が日に日に大きくなる昨今ですから、安易に「是非劇場に足を運んでください」とは言えません。

けれど、僕もコロナの影響が大きくなる前に何度も見ているくらい、最高の出来だと思います。

なので、コロナの影響が落ち着いてからでも良いですし、円盤が発売されたり各配信サイトで配信されたら是非見て頂けたらと思います。

 

 

 

以上、オタ美語り〜SHIROBAKO編〜でした。

 

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