よくSNSとかで、「ホワイトヘアにするにはブリーチ3回以上必要です!」みたいな投稿をよく見かけます。
しかし、ブリーチを真に理解していれば、ブリーチ1回でホワイトヘアにできますし、ヴァージンヘアと変わらないような艶と指通りを実現できます。
今日の記事はそんなお話です。
【華やかで品のある髪色が派手髪】
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ホワイトヘアにできる条件
と、その前に…。
ホワイトヘアにするためには、
最低条件としてカラーもパーマも縮毛矯正もしておらず、普段のアイロンで髪の毛が熱変性をしていない完全なヴァージンヘアであること
が必須になります。
何故カラーやパーマをしているとできなくなってしまうのか。
黒染めじゃなくて普通のカラーでもダメなの??
「熱変性って??」
といったご説明を、こちらの記事で解説しております。
ホワイトヘアがそもそもどういう状態なのかも合わせて書いておりますので、是非ご覧ください。
ヴァージンヘアからブリーチ1回でホワイトに
では、実際にどういうプロセスでブリーチ1回でホワイトヘアにするのか。
まずはビフォアの確認です。
ヴァージンヘアは必ずしも真っ黒ではない
先日高校を卒業されたばかりで、校則が厳しくカラーやパーマなど一切しておらず、普段アイロンも使うことがないというこちらのお客様。
ヴァージンヘアと聞くと、真っ黒な状態を想像される方が多いかもしれませんが、実際は…、というか、特にここ最近は食の変化や様々な要因から、ヴァージンヘアでもほんのり茶色味がかっている方が多いです。
只管盛る、塩釜ブリーチ
ブリーチ塗布が終わると、このような状態になります。
髪の毛が見えなくなるくらいブリーチを盛る、塩釜ブリーチです。
格好付けて言うと、
フロル_コノシミエント式色操道 絶対脱色の窯
です。
血界戦線のスティーブンで脳内再生お願い致します。
閑話休題
塩釜にする理由
このように塩釜にするのには、勿論ちゃんと意味があります。
少し理屈っぽい話になってしまうのですが…、
理由①質量保存の法則
昔、中学校とかの理科の授業で”質量保存の法則”って習いましたよね。
質量保存の法則とは
化学反応の前と後で物質の総質量は変化しない
とする化学の法則。
僕の数少ない友人ウィキペディアがそう教えてくれました。
これは、化学全般に言えることで、モロに化学反応を用いて髪の毛をあれこれしている我々の施術でも同じことが言えます。
理由②ブリーチで明るくなる理由
ブリーチ剤に含まれている成分
ブリーチの反応は至ってシンプルです。
ブリーチ剤は、1剤と2剤という二つの薬剤を混ぜて起きる反応で明るくします。
1剤はアルカリ剤と過硫酸塩という成分。
2剤は過酸化水素という成分。
それぞれ他にも様々な成分が配合されていますが、ブリーチで起きる反応の本質はこの3つになります。
ブリーチの反応とは
1剤のアルカリ剤が2剤の過酸化水素(H2O2)を分解して、水と酸素を発生させます。
この時発生する酸素が、髪の毛を酸化させることで明るくなります。
これは所謂普通のカラー剤と呼ばれるアルカリカラーでも同じことが起きていて、だからアルカリカラーは髪の毛が明るくなるんですよね。
更にブリーチの場合、この時発生する酸素が過硫酸塩と反応し、ラジカル化という現象を起こします。
このラジカル化によって、アルカリ剤が過酸化水素を分解した時に発生した酸素が非常に強い酸化力を持つようになってくれます。
なので、ブリーチ剤はカラー剤では作れない明るさまで明るくできるのです。
塩釜にする理由まとめ
理由②で書いたブリーチの反応を、理由①で書いた質量保存の法則と合わせると。
例えば100gしか塗らなかった場合と、1000g塗った場合とだと、後者の方が沢山反応してくれますよね。
要するに、ブリーチ剤は塗った分だけ反応してくれるものだと思ってください。
勿論、髪の毛に触れていなければ髪の毛に対して反応はしません。
けれど、髪の毛が見えるくらいしか塗らないのか、髪の毛が見えなくなるくらいたっぷり塗るのかだと、断然後者の方が、塗り漏らしも少なく且つしっかりと反応し綺麗に明るくなってくれるのです。
ブリーチの反応が止まる??
で、ここでよくある勘違いなのですが…、
「ブリーチは30分くらいで反応が止まるから、そこで一度流してもう一度塗って…、を繰り返す物」
みたいな話を理美容師さんや理美容学生さんは勿論、ブリーチをしたことのある方なら一度は聞いたことあるかもしれません。
これは本当にそうなのでしょうか??
使うブリーチ剤によって変わる
確かに、僕の大好きなM社から出ている白い爆弾は、30分くらいで剤型が崩れ、ブリーチの天然水が湧いてきますし、そういった処方のブリーチ剤も少なくないです。
けれど、安定して反応してくれる剤であれば、余裕で50分〜60分は安定した反応を見せてくれます。
なので、30分で反応が止まる云々はそういった薬剤を使っているからだったりします。
僕自身、様々なメーカーさんのブリーチ剤を試しましたが、よく”強いブリーチ”と呼ばれるものほど瞬発力はあるけど安定性が低く、”弱いブリーチ”と呼ばれるものの中には反応がゆっくりだけど安定性が高いものが多いイメージです。
その弱いと呼ばれるブリーチ剤も、しっかりと反応させ切れば強いブリーチ剤と変わらない明るさまで持っていけますし、なんなら反応し続けてくれる分、所謂強いブリーチ剤よりも綺麗に明るくなってくれたりします。
反応が凪ぐタイミングで反応継続をさせる
安定した剤でも50分〜60分くらい経つと一見反応が止まったように感じます。
しかし、実際には僅かですがゆっくりと明るくなっているので、剤が崩れない限りは反応し続ける物とも言えますし、この状態のことを熊谷の方言で”ブリーチが凪ぐ”とか”凪に入る”言います。
何故反応が凪ぐの??
ではこの凪に入るのは何故なのか。
シンプルに反応に必要な材料の内、反応の中で減少していくものがあるからです。
先ほどご説明した、ブリーチの成分と反応。
アルカリ剤と過硫酸塩、過酸化水素が反応が進むにつれ徐々に現象していきます。
これらの材料が足りなくなってくるので、安定したブリーチ剤でも50〜60分経つと反応が止まったように見えてくるのです。
反応を継続させるには
ただ、アルカリ剤に関しては髪の毛がアルカリ性に傾いていればそこまで必要ではないと僕は考えているので、主に足りなくなるのは過硫酸塩と過酸化水素。
更に言うと、塩釜ブリーチで丁寧にブリーチしてあげればホワイト一歩手前くらいまで明るくなってくれて、もう一押しあれば充分なので、必要になるのは過酸化水素のみということになります。
なので僕は、塩釜ブリーチの後に一度反応しきったダメージの原因にしかならない部分を丁寧に削ぎ落として、過酸化水素を足してあげます。
結構引っ張っているように見えますけれど、ブリーチ剤が付いている髪の毛はとってもセンシティブなので、物凄く丁寧に落としています。
ブリーチで綺麗に明るくしたらカラーシャンプー
ブリーチでホワイトにできる明るさまで持っていけたら、あとはカラーシャンプーをしていきます。
ですが、その前にダメージを極限まで抑えるために必要になってくるのが、ブリーチだけで白まで持っていかないと言うことです。
ブリーチで明るくしすぎない
さっきの方ではないのですが、大体ブリーチでここまで明るくします。
よく美容師さんが使う○レベルと言う明るさの物差しで言うなら18.5lvです。
18.5lvくらいだと、まだ僅かに黄色味が残りますが、カラー剤やカラーシャンプーなどで充分黄色味を抑えられますし、黄色味を抑えれば白く見えてくれるので、僕はこの明るさからホワイト領域とお伝えしています。
ちなみに、19lvまで到達するとカラーシャンプーが必要ないくらい白くできます。
しかし、僕の中で19lvがダメージのk点になっています。
と言うのも、19lvまで到達させてしまうと一気にダメージレベルが上がってしまい、どれだけご自宅でのケアを気をつけて頂いていても切れ毛になってしまったり、ホワホワと纏まらない状態になってしまいます。
また、髪の毛は必ず伸びるものなので、根元が伸びてきたらリタッチが必要になりますよね。
その時に、19lvまで到達してしまっていると、正直完璧にリタッチしたとしても切れ毛は止むを得なくなってしまいます。
ご自身で扱う上で、次にリタッチをしたりすることを考えて、髪の毛に体力を残すことが必須なので、ブリーチだけで白に見える19lvまでは持っていかず、18.5lvで止めているのです。
カラーシャンプーで完成
ブリーチで先ほどの写真くらいまで明るくしたら、カラーシャンプーをすることで完成です。
今回こちらのお客様は、純白だったり冷たい漢字よりも、少し暖かみのあるホワイトブロンドをご希望だったので、紫シャンプーではなくブラウンシャンプーで黄色味は抑えながら暖かみを残しました。
もっと冷たい感じにもできますし、白を通り越して紫っぽい感じにすることもできます。
あくまで好みと”どういう白が似合うか”と僕の気分次第です。
メニュー:ホワイト・ブロンド(¥20,000)+Hana式トリートメント(¥5,000)
所要時間:5h
よく「ブリーチ何回もしないとできませんよ」と言われるホワイトヘアですが、一回で作れると言うことがお分かりいただけたでしょうか?
ブリーチを何回もしてしまうと、その分髪の毛のpH(アルカリ性か酸性か)が何度も変動してしまいますし、”塗布”という物理的負荷が何度もかかることになってしまいます。
1回のブリーチでキチンと明るくしてあげれば、ヴァージンヘアと変わらない艶と指通りを実現できますし、ブリーチで抜き過ぎなければそれ以降も快適に過ごせます。
「ブリーチは傷むもの。ましてやホワイトヘアなんて髪の毛がボロボロに…。」
なんて思われがちですが、そんなことないよということを知っていただけたら嬉しいです。
勿論、最初にお伝えした通りホワイトヘアにするのには条件があるので、
それをご理解頂いた上でご予約頂けたらと思います。
コメント
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